1 :: 2017-12-14 17:37:32 114.114ZNY 1人 ←投銭

twitterの方で呟きましたが、2年前のBitZenyデザインコンテストで、ぜにぃ姫が誕生したようです。
https://twitter.com/endless_summer/status/941184536712396802
最初のコンセプトをもとに、皆でぜにぃ姫の物語を紡げたら面白いのでは?と思い、スレッドを立てました。
是非ご参加ください。

2 :: 2017-12-14 17:40:58 0.0ZNY 0人 ←投銭

「わらわは侍王になる!」
と置手紙を残し、城を飛び出した一人の少女。
彼女は一国の姫じゃったが、そのお転婆で天真爛漫な性格から
姫だということを隠して冒険に飛び出してしまったのじゃ。
侍王になるために・・・。

3 :: 2017-12-14 17:43:04 0.0ZNY 0人 ←投銭

冒険に飛び出した矢先、謎の刺客に刺されてしまったぜにぃ姫。
胸にしまっていた<銭>のおかげで、どうにか一命をとりとめたのじゃが・・・。

4 :nene: 2017-12-14 17:59:44

その刺客のなかの一人に、かつての家来がいた。
「( ,,`・ω・´)ンンン?この小娘、もしやぜにぃ姫では・・・??」

5 :: 2017-12-14 19:27:41 11.4114ZNY 1人 ←投銭

「姫、姫、大丈夫でござんすか?」
「ん・・・ん?お主はどこかで見た・・・!裏切り者の宗次郎ではないか!こんなところで何をしておる!さては貴様が!あ、イタタタ・・・」
「安静になさってください。なぜ姫君が城外へ?」
「お主には関係ないのじゃ!」
「・・・」

この宗次郎という男、実は・・・。

6 :: 2017-12-14 20:08:59 12.5514ZNY 2人 ←投銭

 3年前。各国の腕自慢を集めた侍王を決めるための武術大会で、準決勝でぜにぃ姫を破った後、決勝で現侍王とほぼ互角の勝負を繰り広げた猛者であった。
「……ふっ。どうせ姫のこと、『侍王に、わらわはなる!!』とか言って、城を飛び出したんでしょう?」

7 :: 2017-12-14 22:05:31 22.8228ZNY 1人 ←投銭

「うるさい!」顔を赤らめる姫。
「城を先に飛び出したのは貴様じゃないか!裏切ったくせにまたのこのこと、わらわの前に姿を見せるとはいい度胸じゃないか」
と言うやいなや、脇差しを取って宗次郎に襲い掛かろうとする姫。しかし、腰にあるはずの刀がない。
「?」
姫が宗次郎を見上げると口元に笑みを浮かべている。
「甘いですな〜、姫」
宗次郎の手には姫の脇差しが。
「クッ・・・」

8 :: 2017-12-14 23:00:29 11.8014ZNY 2人 ←投銭

「いいですか姫?」
「……ぬ?」

「いくら姫でも一人で旅をするのはあまりに危険でござんす。もし刺客の中に拙者がいなければ今頃……」
 急に説教を始める宗次郎。

「……うぅ、うるさいっ! 脇差返せ宗次郎のあほーっ!!!」
 そう絶叫すると、懐にしまっていた<銭>を掴むと宗次郎に向かって……

9 :: 2017-12-14 23:50:28 11.4114ZNY 1人 ←投銭

姫が投げた銭は宗次郎の顔に直撃!
「な、なにするんですか!」
「ヒッヒッヒ、必殺投げ銭じゃわ!」
と得意げに姫。
「投げ銭?」
「お前さんがなぜ城を抜け出したのか、わらわは知っておる。母君のためじゃろ?」
「・・・」
言葉を失う宗次郎。そう、宗次郎には一人故郷に残した年老いた母がいて・・・

10 :: 2017-12-15 01:17:26 12.5514ZNY 2人 ←投銭

「……いえ拙者、天涯孤独の身の上ゆえ」
 いなかったらしい。

「……そ、そうじゃったか? あ~ ……あれは宗太郎じゃったかな」
「ほう、聞いたことのない名ですな」
 ごまかし失敗。

「あ~、いや、そうではなくてじゃな…… そ、そうっ、お前さんの後ろに立っておる!」
「……? 誰もいませんが?」
「いやっ、わらわには見えておる。お前さんの背後に佇む年老いた老婆の姿が……」

「怖いこと言わんでくだせぇ!」
「ええい投げ銭ーーっ!!」

 宗次郎の顔面にありったけの<銭>をぶつけ、隙をついて脇差を取り戻しその場から逃げ出す姫。


「……ふぅ、なんとか撒けたようじゃな」


 まだ暗がりが残る細道をひとり歩きながら
「……わらわは侍王になるのじゃ。侍王、それは孤高の存在」
そう自分に言い聞かせるように呟く。

「……別に孤高とかじゃねぇけど?」
「っ!?」
 突然、耳元で囁かれる声に驚愕で身体が強張る。


「……さ、侍王」
「久しぶりだな、ぜにぃ姫」

11 :: 2017-12-15 02:44:51 2.14ZNY 2人 ←投銭

ぜにぃ姫「…………な、なぜ?」

12 :: 2017-12-15 09:24:49 12.4114ZNY 2人 ←投銭

「なぜって、そりゃあ王として、いや兄として、放ってはおけねえだろ」
「今さら兄貴ヅラかよ・・・。お前のせいで父上はだな・・・」
その瞬間姫は背後を取られ、口を塞がれる。
「おっと、それ以上は言うな」

13 :: 2017-12-15 11:00:27 11.8014ZNY 2人 ←投銭

 突然現れた身の丈9尺5寸をも超える大男、侍王。何を隠そうぜにぃ姫の実兄だった!

「ふが!? ふがふが!!」
「……いいか、よく聞け。……宗次郎、奴に気を許すな」
「ふがっ?」
 宗次郎とは先ほど偶然再会したが、大会で一度戦ったくらいで特に関わりがあったわけではない。
 ――少なくとも、ぜにぃ姫の記憶の中では。

 しかし宗次郎と再会したとき、ぜにぃ姫の口から真っ先に出た言葉。


『裏切り者の宗次郎』
 

「ぜにぃ姫、いや、ぜにぃよ。父上は――」
 

「……ふぅ、ようやく追いついたでござんす。姫、大切な<銭>を全て拙者に投げつけるなんてとんでもないでござんすよ」
 先ほど撒いたはずの宗次郎が、二人の前に姿を見せる。

「……宗次郎」
 侍王の声に若干の震えと、口を塞いだ手に少し力が籠ったのを感じ取るぜにぃ姫。



「おや? その巨体は…… 久しぶりでござんすな、侍王」

14 :: 2017-12-15 12:54:37 13.5514ZNY 3人 ←投銭

「よくあんなことをしておいて、やすやすと顔を出せたものだな宗次郎」
「あんなこと? 何のことか分からないっすねえ。」
「ふざけるな。父上はお前のせいで...」
へらへらと答える宗次郎に侍王は怒りを露わにする。

すたすたと近づいてくる宗次郎。
ぜにぃ姫は後ろ手に回され守られる。

15 :: 2017-12-15 14:15:37 11.8014ZNY 2人 ←投銭

――いったいどういうことだろう?


 さっきまで私は学校で英語の授業を受けていたはずだ。
 昨日は夜遅くまでゲームをしすぎたせいか、先生の読み上げる英文とリピートアフターミーに続く生徒たちの声が心地良く少しウトウトしていたかもしれないけど……
 
 気づいたら私の目の前には、3メートルはあろうかという大男が背中を向けて立っていて、さらにその先にはスキンヘッドの怖そうな男が、気持ちの悪い笑みを浮かべてこっちを見ていた。

 大男の方はめっちゃ怒ってるみたい! っていうかここはドコ??

 空気感が違うというか、私が今まで暮らしていた場所とは異なることを本能が強烈に訴えかけてくる。
「え~っと……」


『おい貴様っ! 一体何をした!? わらわの身体を返せ! 投げ銭するぞっ!!』
 頭の中で少し高い可愛らしい声が聞こえてきた。

16 :: 2017-12-15 14:23:13 12.8014ZNY 3人 ←投銭

それと同時に猫が横切った!
にゃーん

17 :: 2017-12-15 14:32:30 1.0ZNY 1人 ←投銭

この声はどこから?頭の中?
『どこ見てるんだ!こっちだ、こっち!』
え、猫が喋ってる?!

18 :: 2017-12-15 15:07:32 13.5514ZNY 3人 ←投銭

その瞬間猫が電車に変わった!
猫電車でレッツゴー!
どこへ?
考える間もなく体が動き、乗車した。とりあえず終点まで!

第一章 お・わ・り

19 :: 2017-12-15 16:51:07 12.5514ZNY 2人 ←投銭


 猫電車に揺られながら、頭の中でぜにぃ姫と
色々と話をした。

 うん、だいたいこの世界のことは理解できた。
 よ~し、私もぜにぃ姫と一緒に侍王を目指してみよう!!

 幸い、私の目は少し特殊なようで、生き物に焦点を合わせると相手の強さ『銭闘力』なるものが浮かび上がる。これさえあれば無謀な戦いは避けられるはず!


第二章 猫の正体

20 :: 2017-12-15 18:51:48 12.4114ZNY 2人 ←投銭

パンポラ、ペロペロ、ペロローン♪
「終点です。終点です。」

いつの間にか眠っていたみたい。
ここはどこかしら?
窓を見ると砂漠が広がっている。
やだ!どこよここ!まったくもう!

21 :: 2017-12-15 19:15:25 11.8014ZNY 2人 ←投銭

『なあなあ、あの砂の海はなんじゃ?』
「砂漠だよ。私も見るのは初めてだけど…… あっ、あれは!!」

22 :: 2017-12-15 21:11:29 12.4114ZNY 2人 ←投銭

あれか…
あれは、ラクダという生き物で、とてもまつ毛が長くてかわいい生き物だ。
「もっと最初に気になる部分があるだろがあああああ」

23 :: 2017-12-15 23:11:33 13.5114ZNY 3人 ←投銭

「ひ、人だよね?たぶん・・・」
「大丈夫じゃろうか?あんなところでうずくまっておって」
私たちが近づくと、男が助けを求める顔でこちらを見上げる。その瞬間、ぜにぃ姫の顔がみるみると蒼白に変わっていった。
「どうしたの?」
問いに答えず心ここにあらずといった表情の姫。「・・・・」
「え、なに?」
振り絞るような声で姫の口から出た言葉に私は絶句する。
「父上・・・」

24 :: 2017-12-15 23:46:05 12.9014ZNY 3人 ←投銭

 男は瀕死だった。

「そ……そこに誰かいるのか? ワシはもう何も見えぬ、何も聞こえぬ」
『父上っ!!』
 ぜにぃ姫の意識に引っ張られ、私はその男に駆け寄り手を握った。

「おおぉ…… た、頼みがある。近くにラクダがいるだろう? 名は『お菊』 ……呪いで姿を変えられた私の妻だ」
 
 ――マジか。 ……ってことは、ぜにぃ姫のお母さん??

25 :: 2017-12-16 00:23:50 12.4114ZNY 2人 ←投銭

呪いにかけられたラクダなんて、どうすればいいのよー。
『わらわの言う通りにするのじゃ、いい考えがある』
「うん、わかった」

26 :: 2017-12-16 05:59:36 12.4114ZNY 2人 ←投銭

『投げ銭をするのじゃ』
「えっ!?投げ銭!?」
『その銭には清浄の力があるのじゃ!とにかく言う通りにするのじゃ!』

意味が分からないまま、とりあえずラクダに10ZNYくらい全力で投げ銭してみた。

27 :: 2017-12-16 06:27:19 12.4114ZNY 2人 ←投銭

特にラクダに変化はない...。
足りない?でももう手持ちはない。
『宗次郎に投げた分で銭が切れてしもうてた』
『一度、わらわの世界に戻って城に取りに戻るぞ』
ギュイイイイイイイイイン。
私は姫の頭の中。姫は大男に取り押さえられている。

28 :: 2017-12-16 08:11:26 12.5514ZNY 2人 ←投銭


「よくあんなことをしておいて、やすやすと顔を出せたものだな宗次郎」
「あんなこと? 何のことか分からないっすねえ。」
「ふざけるな。父上はお前のせいで...」


 ――いったいどういうことだろう? ぜにぃ姫が何かしたの??

 どうやら私はこの世界で記憶を持った地点まで戻ってきたらしい。しかも今度は私がぜにぃ姫の頭の中みたいだ。

 さっきまで猫電車に乗って、砂漠でぜにぃ姫のお父さんと喋っていたはずなんだけど。
 よくわかんないけど、ぜにぃ姫もあまり信用しない方が良さそうだ。

 ひとまず私は大男に視線を向けて意識を集中させた。大男の頭上に銭闘力が浮かび上がる。
『銭闘力1500か…… 強いのか弱いのかわかんないな。えっと宗次郎だっけ? あいつの銭闘力は……』

29 :: 2017-12-16 09:57:32 1.39ZNY 2人 ←投銭

1499……!?

30 :: 2017-12-16 10:24:44 11.8014ZNY 2人 ←投銭

『投げ銭をするのじゃ』
「えっ!?投げ銭!?」
『その銭には清浄の力があるのじゃ!とにかく言う通りにするのじゃ!』

意味が分からないまま、とりあえずラクダに10ZNYくらい全力で投げ銭してみた。

31 :: 2017-12-16 10:41:14 1.14ZNY 1人 ←投銭

↑謎のバグです。僕の同じ内容のは無視でお願いいたします(−_−;)

32 :: 2017-12-16 10:49:02 1.0ZNY 1人 ←投銭

>>31
バグも気にせず活かしましょう!
この続き書きますね。

33 :: 2017-12-16 10:54:22 12.4114ZNY 2人 ←投銭

ーーいったいどういうことだろう?時間が巻き戻ってる?私はたしかにぜにぃ姫がいたあの世界に戻ったはずなのに。また砂漠にいる。そして目の前には女の人が・・・

「あ、頭が痛い!あ・・・」

ー現代ー

キーンコンカーンコン

「みずほ、ねえ、瑞穂!」
「ん?むにゃ?」
「むにゃ?じゃないよー。もう授業終わったよ。早くカラオケ行こうよ」
「あ、あ、うん(なんかすごくリアルな夢だった気がするけど・・・)」
その時、瑞穂は握りしめていた手の中に何かあることに気づいた。手を広げてみると、そこには見たことのないコインが1枚・・・。

34 :: 2017-12-16 11:03:53 12.4114ZNY 2人 ←投銭

このコイン。夢の中で見た銭とかいう・・・。
「どうしたの?瑞穂?」
「あ、ううん、何でもない!ごめん!今日ちょっと約束があったんだった。またねー」
「ちょ、ちょっとー!なんか今日の瑞穂おかしいなあ」

家に帰るやいなや兄の部屋に飛び込む瑞穂。
「ちょっと、ねえねえお兄ちゃん!」
「な、なんだよ、急にドア開けんなよ!いつもノックしろって言ってんだろ」
「あ、ごめん。ねえ、あのさ、お兄ちゃん最近なんか変なコインにはまってたよね?」
「変なコインじゃねえよ。仮想通貨。革命的だぞ、これは、うんぬんかんぬん」
「難しい話は分かんないからいいよ。ねえねえ、このコイン見覚えある?」
「こ、これは・・・」

35 :: 2017-12-16 11:24:52 12.5514ZNY 2人 ←投銭


「これは?」
「Bitzenyだ」

「……びっとぜにー?」
「ああ、レプリカかな。どこで手に入れたんだ? 良く出来てるけど……」

「あ…… ありのまま さっき 起こった事を話すよ!
 私はさっき 別の世界で宗次郎の銭闘力を測っていたとおもったら いつのまにか ラクダに銭を投げていたの。
 な…… 何を言っているのか わからないと思うけど 私も 何が起こっているのか わからなかった……」

「ふむ。……それで?」

「えっと、それで…… 気づいたら、こっちの世界に帰って来てて、このコインを持ってたの」

「……なるほど。それはあれだな、寝てるときに誰かがこれを握らせたんだ。つまりいたずら――
「そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ!!!」

「……お、おおぉ、ごめん」

36 :: 2017-12-16 12:18:16 13.55254ZNY 3人 ←投銭

「って、瑞穂なんだその猫?」
「ん?」
カバンの中からひょこんと顔を出した白い猫。
「わらわはじゃな」
「うわー、しゃ、しゃべったー!」

37 :: 2017-12-16 12:38:51 12.94254ZNY 3人 ←投銭


あれ? この喋り方、この猫……
 
「……もしかしてぜにぃ姫?」
 猫は胸を張って頷いた。可愛い。んでもってやっぱり夢じゃなかった!!

「ここはどこじゃ?」
「私の家だよ」

「そこの御仁は? 凄まじい力を感じるが……」

「「へ?」」
 お兄ちゃんと私の声が重なる。

「私のお兄ちゃんだけど…… 凄まじい力って」
 お兄ちゃんも訳が分からないと言った感じだ。

 私がお兄ちゃんに意識を向けると、お兄ちゃんの頭上に14925.4577845という数字が現れた。

 「……え?」

 これって銭闘力? 小数点以下があるけど…… 
 っていうかなんでお兄ちゃんが? 侍王と宗次郎の10倍くらいあるんだけど。

「ん、どうした?」

「えっと、14325.4577845って数字がお兄ちゃんの頭の上に出てる」
「……頭の上?」お兄ちゃんが上を向く。

「何も見えないけど? てかその数字、俺の所持znyと一緒だな」

38 :: 2017-12-16 13:45:58 12.8014ZNY 3人 ←投銭

ちゃんとお話になっててすごく面白い!!(横からごめんなさい)

39 :: 2017-12-16 15:11:40 12.8014ZNY 3人 ←投銭

ついでに私も、さらに横からごめんなさい(;´∀`)
エサ@bitzeny芸人さん、「リレー小説「ぜにぃ姫」の感想文を語るスレ」を立ててくださ~~~い
私が、そのスレ立てるわけにはいかないんで…'`,、('∀`) '`,、
こんなに盛り上がってるから、感想言いたいよなあああああ
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

40 :: 2017-12-16 16:12:00 12.8014ZNY 3人 ←投銭

「お兄ちゃん、もしかして強いの?そこの壁殴ってみて」
「お、おう」
バシッ。
「痛ってえ!」
「へなちょこじゃん、お兄ちゃん!」
「なんだと!どの口が言いやがった!」
どしゃっ。
私に襲い掛かろうとしたお兄ちゃんがずっこけた。
『銭闘力はこの世界では効果がないんじゃ』
ぜにぃ姫が説明する。

41 :: 2017-12-16 17:44:58 12.5514ZNY 2人 ←投銭


「じゃあ向こうの世界だったらどうなるんだ?」
 お兄ちゃんが立ち上がりながらぜにぃ姫に問いかける。

「最強じゃな、ぶっちぎりじゃ」

「「ぶっちぎり……」」
 お兄ちゃんとまたもや重なる。

 しばらくの沈黙の後、

「……まあ、猫が喋ってる時点で、瑞穂がなんかおかしなことに巻き込まれてるのは認めよう」
「お、おぅ」
 お兄ちゃん、意外とあっさり受け入れたね。

「じゃ、頑張ってくれ、俺はゲームに戻るから」
 そう言って、お兄ちゃんはモニターに向かって座り直し、ヘッドセットを装着した。


「……え? えええぇ!?」
 びっくりだよ! この男、私の大事よりゲームを選んだ!!

「嘘でしょお兄ちゃん? 最強を求めるのは男のロマンだよ! 猫、喋ってるんだよっ!?」
「……俺はそんな世界に生きてないから」
 ダメだ、全然受け入れてなかった!

42 :: 2017-12-16 19:14:20 12.8014ZNY 3人 ←投銭

「ならばお主も向こうの世界に連れて行くのじゃ。その力、持て余すのは勿体無い」
「ど、どうやって行くんだよ、そんな別の世界に!?」
「この猫の力を借りるのじゃ。この猫は世界と世界を行き来できる不思議な力があるのじゃ!」

43 :: 2017-12-16 22:41:05 13.5114ZNY 3人 ←投銭

「まじかよ。俺ゲームじゃなくて、今トレード中なんだけど」
「何を訳のわからないことを言っておる。話してる暇はない。みなで行くのじゃ」
「ちょ、ちょ、待てよ」
「行くしかないのね・・・」
頷く白い猫のぜにぃ姫。
瑞穂は背筋をピンと伸ばして、緊張しつつも決意に満ちた表情を浮かべた。射し込んだ西日が眩いせいか、その姿はぜにぃ姫と重なった。

第二章 猫の正体 ー完ー

44 :: 2017-12-17 00:13:53 3.28ZNY 3人 ←投銭

第三章 『銭の世界』

一旦ブラックアウトした俺の目の前に、無数の電子的な英語や記号が流れていった。




「・・・ううっ、ここはどこだ?」

俺の目の前の画面の右下にアイコンが点滅している。タップすると『銭闘力』をはじめとしたステータスが表示された。

そうか、俺はあの猫に連れられてゲームの中に迷い込んだんだ。

あたりを見渡すと、和風というか中華風というかオリエンタルな感じの街並みだった。
人々は陽気な祭りを楽しんでいるようだ。

「ねえ、君。大丈夫? 祭りの熱にでも当たったのかな」

ぼんやりとしていた俺に声を掛けてきたのは、屋台で焼き団子を売っていた女の子だった。町娘風の着物を身に付けた彼女の頭には、なぜか白猫のお面が乗っかっている。

「仕方ないなあ。そこに座っていなよ。冷たいお茶持ってきてあげるから」

俺は、女の子に言われるままに椅子に腰かけた。

「そうだ、瑞穂の奴とぜにぃ姫はどこにいったんだ」

まだ、自分が置かれた立場を整理出来ずにいる俺に、ふと影が落ちる。

「ここじゃ、ここ。目の前におるじゃろうが!」

見上げた俺の目に映ったのは、女の子の頭についている白猫のお面が喋っているシュールな光景だった。

45 :: 2017-12-17 01:05:14 2.24ZNY 2人 ←投銭


「……ひとまず、状況を整理させてくれないか?」
 女の子から受け取ったお茶を飲みながら、俺はぜにぃ姫に話しかけた。

「うむ」
 作り物のお面のくせに、もの凄く偉そうに『うむ』と言っているのがわかる。まあ別にいいけど。

「この世界、さっきまで俺がやっていたゲームにそっくりなんだけど、お前が連れてきたってことで合ってるよな?」
 とりあえず一番情報を持ってそうなのがこいつだからな、いろいろと訊いておこう。

「……この世界がどこかはわからぬ。 連れてきたのはわらわだと思うのじゃが…… ところで『げーむ』とはなんじゃ?」
 あれ? 

「瑞穂は?」
「知らぬ」

「お前を被ってるその女の子は誰だ? ていうかなんでお前、仮面なの?」
「知らぬ」
 おいおいコイツ、何も情報持ってないぞ??

「あのぅ?」
 その女の子が喋りかけてきた。

「さっきから、何ひとりで喋ってるんですか?」


46 :: 2017-12-17 05:44:15 3.24ZNY 3人 ←投銭

俺は、女の子の質問に対して、白猫のお面に視線を移した。

すると、本来無機質であるはずのお面から、面倒くさくなってる雰囲気が伝わってきた。

「どうも、この世界ではわらわは自由には動けないようじゃな。これ以上、お主と喋っていても疲れるのでな。ちょっとわらわは眠っておるぞ」

そういうと、白猫のお面は口を閉ざした。

「ははん。君はまだニューカマー(新人)さんなんだね」

お面が黙ると、女の子はどうやら勘違いしたのか俺に話しかけてきた。

「よし、いいよ。私が教えてしんぜよう。ただし、ただでとは言わないよね~。私、ここのお店のお団子が好きで働いているのよね」

俺は、情報を集めるために彼女に好きなように団子を頼むように言った。
まったく、どこの世界でもギブ&テイクなのか・・・。

彼女が説明するには、ここは電脳都市メトロゼニイというらしい。

もともとのゲームは鉱物(スチームマイン)をマイニングして蒸気にトレードして街を開発するスチームパンクをテーマにしたゲームだったらしいが、売れずに親会社の経営が悪化。ゲーム自体も過疎化が進み消滅都市の危機にさらされたそうだ。

そんなある日、ひとりの男がマイニングしていた仮想通貨(BitZeny)が、リアルの世界で大高騰することになった。男はその莫大な利益で運営会社から仮想都市メトロゼニイを購入し、仮想空間でのセカンドライフを本格的に始めるようになったということだ。

「まったく、現実世界も仮想世界も世知辛い世の中だな」

俺がそんな感想を述べていると、街中で歓声があがる。

「おおっ、プリンセス・ゼニイ様の出現よ」

そんな歓声が聞こえる中、俺達の目の前に現れたのは、巨大なホログラム映像として投影された瑞穂の姿だった。

47 :: 2017-12-17 06:10:53 3.24ZNY 3人 ←投銭

「あいつは俺の妹じゃねえか!」
「ゼニイさまに兄弟はいないよ」

『市民の皆様、本日ゼニィ記念日の式典は10時から開始されます。広場にお集まりください。』
ホログラムの瑞穂が話す。
この世界での役は俺が市民、ぜにぃ姫はお面、瑞穂は姫ってとこか。瑞穂の奴いいところ持っていきやがったな。
何はともあれ瑞穂と接触しよう。

「丁度いいから一緒にいくか?」
「あそこは行っては駄目よ!だって...」
いきなり女の子が真剣な表情になる。

48 :: 2017-12-17 06:41:20 2.14ZNY 2人 ←投銭

その表情はなにかに怯えているような…
その瞬間、ホログラムの瑞穂も乱れてきて、その先何を言っているのか聞き取れなくなってしまったが…
「あそこは行っては絶対に駄目よ!絶対に、絶対に、だって、だって...」
さらに表情はこわばって…

49 :: 2017-12-17 08:11:50 2.14ZNY 2人 ←投銭

「いわゆるショート派の式典なの。」
「この世界にも派閥があるのか?」
「そうよ。私たち元々の住民はロング派。ショート派は最近外から集まったお金持ちが多いわ。彼らのおかげでこの街は大きく発展したわ。そして変わってしまった…。」
「街が潤って発展したならいいことじゃないか」
「いいことばかりじゃないよ…。お金を持ってるショート派の発言力が強いから、この街はどんどん変わっていっちゃう…。私は投げ銭し合って助け合ってた前の方が楽しかったかな…。」

女の子の表情はどこか寂しそうだった。

50 :: 2017-12-17 08:45:24 1.1ZNY 1人 ←投銭


「なんてねっ! はいっ ここから先は追加料金になりま~す♪」
 寂しさを無理やり振り払うように、可愛らしく追加料金をねだられた。 ……まあ仕方ないか。

「……団子追加で」
「やたっ お団子10つ追加入りました~♪」
 そう言いながらバックヤードに跳ねていった。

 「ショート派、ロング派か……」どこの世界も同じだな。結局金持ってる、強い奴が勝つんだ……。

「……あれ? 俺大丈夫か?」
 自分で何気なく呟いた言葉に不安がよぎる。

「ん? …もぎゅもぎゅ、何が?」
 お団子を頬張りながら戻ってきた女の子に、

「あのさ、俺、金持ってるの?」
「え? 持ってないの? まさか食い逃げ!?」
 その声に他の客も一斉にこっちを向く。

「いやいやいや、わかんないから聞いてるんだ! 持ってないとは言ってない!!」
「え~ 怪しいぃ。 メトロゼニイは地獄の沙汰も金次第、無一文には厳しいよ?」
「だから持ってないとは言ってないって……」
 頼む…… あれだろ? 俺、きっとこの世界でBitzeny長者って設定なんだろ!? 

「……まずステータスバーを出してみて、んで私にも見えるように画面共有ね」
 画面の出し方を教えてくれる。 お、出た。

「共有って…… あんまりしたくないんだけど?」
「いいじゃん、どうせまだ大したもん持ってないでしょ?」
 まあ仕方ないか……。俺は女の子に画面を見せる。

「ふむふむ、スチームマイン0、メトロゼニィも0か…… 無一文だね」
 はい、無一文でした。

「Bitzenyは……? 通貨ペア……トレードはないのか?」

51 :: 2017-12-17 09:19:52 2.1ZNY 2人 ←投銭

「Bitzenyなら持ってるの?高騰してすごく高価な通貨よ?」
「持ってる!持ってるはず!14000はあったはず!」
「Bitzenyを14000も!?」

女の子だけでなく、店内も一斉にざわめいた。

「そ、そんなにすごいのか?」
「国家予算並みよ!」
俺の時代キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!

「所持していればもちろんトレードは可能よ」
「どの画面で見れるの!?」
「こっちの画面ね」

頼む…、あってくれ…!
このままじゃ食い逃げになっちまう…!

52 :: 2017-12-17 10:36:57 1.1ZNY 1人 ←投銭


「ま、この世界で決済に使えるのはスチームマインとメトロゼニィだけだから。早めにトレードしちゃった方がいいよ」
 慣れた手つきで画面を操作していく女の子。
 そして俺は祈り続ける。輝け俺のBitzeny!! ……あかん瑞穂っぽい。

「え~っと、Bitzeny Bitzenyっと…… あれ? 君のストレージ、変な通貨いっぱい入ってるね」
「変な通貨?」
 なんだ? 遊びで買った草コインたちか? それも反映されてる?

「うん、よくわからないのばっかりだけど、例えばこれ」
 女の子がBTCの文字を指さす。

「ビットコインってあれでしょ? 仮想通貨最初期に一番有名だったっていう……」
「今も昔も一番メジャーだろ?」

「……まあお年寄りの人が記念に残してるって話は聞くけどね。私はコレクターじゃないからわかんないや」
 そうか。Bitzenyが大高騰したってことは――


「今って西暦何年?」

53 :: 2017-12-17 15:39:31 3.24ZNY 3人 ←投銭

「西暦?ほんっと君って面白い人だね。」
女の子は心底面白そうに笑っている。
周りの客も笑っているみたいだ。
何か間違ったことを言ったのか?俺。

「今は統一経済歴56年。どうしても西暦がいいなら、今は西暦2156年だよ。」
統一……経済歴……?
俺の心底不思議そうな顔を読み取ったのか、女の子は説明する。

「仮想通貨の普及で世界は1つの経済圏になったの。それで統一経済歴が始まったっんだよ。
もしかして知らなかった?小学校でも習う内容だよ?」

小学生以下かよ、俺。顔が少し熱い。

54 :: 2017-12-17 16:16:37 1.1ZNY 1人 ←投銭


 しかし統一経済歴56年、えっと西暦で2156年か…… 
 想像したよりずっと先の未来に飛ばされていたみたいだ。
 
 お年寄りが記念にビットゼニー残してるって、お年寄り何歳だよ。
 ……まあ俺たちの世界の未来とは限らないしな。


「―――だいたいこんなもんかな? もうお腹いっぱいだし」
 気づくと、女の子は団子を平らげて満足そうにしている。

 一通りこの世界のことはわかった。まだ疑問はあるけど、追々学んでいけばいい。
 そしてこれが一番重要だが、俺のBitzenyは無事にこの仮想都市メトロゼニイにも反映されていた。

 信じてなかったらしく、俺の所持znyを見て女の子含む周りは驚いていた。
 もう俺を笑う奴はいない。
 そうは言っても国家予算並みの通貨を保持している個人は他にも何人かいるらしい。うぬぼれないようにしよう。
 
 ぜひロング派に! と、勧誘してくるおっさんがうっとおしかった。
 とりあえず金に関しては困らないことが分かって満足だ。よっしゃ!


「じゃ、これが最後のアドバイスね。
 初心者は簡単に騙されたりするから、絶対に何言われても画面共有とかしたらダメ。
 最悪、ツールを使って全財産を抜かれるってこともあるからね」

 初心者がやりがちなミスだ。
「そういうことに関しての経験はある程度積んでるつもりだけど…… まあ気をつけるよ」
 確かに狙われる可能性は高いだろう。何せ国家予算並みだ。うむ。


「そっか。すぐ這い上がれるね、きっと。頑張って!!」
 今日一番のとびきりの笑顔を向けられた。 あんまり意識してなかったけど、この子カワイイな。

「いろいろサンキュ。本当に助かった。えっと……」
「あ~、自己紹介まだだったね。私は萌奈、呼び捨てでいいよ」
「萌奈な。俺はサトシ。俺も呼び捨てで」

 この世界で最初に会えたのがこの子で良かった。いろいろ教えてくれたこと、忠告までくれたことに感謝の気持ちしかない。 

「うん、それじゃサトシ。お団子代はこっちで引いといたからね、またねバイバイ」
 そう言って女の子は立ち上がり、俺に手を振ると、一瞬で目の前から消えた。

 文字通りに、一瞬で。 
 店ごと。ほかの客ごと。跡形もなく。


 ―――え?


 俺が何もなくなった一画に取り残されている中、空に浮かぶ巨大なホログラム瑞穂がショート派式典の開始をアナウンスした。

55 :: 2017-12-17 19:56:58 1.0ZNY 1人 ←投銭

どういう仕組みなんだ一体。
萌奈はどこへ?お面になったぜにぃ姫と一緒に消えてしまった。ぜにぃ姫にとっても予想外だっただろう。はぐれてしまった。
営業時間が終了したからどこかへ転送されたんだろうか。
それにしては時間が早い気もするが、電脳都市に常識を当てはめちゃいけない。
団子屋が消えて空き地になったこの場所にはやがて別の店が出現するのだろうか。分からないことだらけだ。
「なんだか寂しいな...」

周りが騒がしくなって人の大きな列ができようとしていた。式典に向かう人達だろうか。
なぜか皆一様に同じ服装をしている。あれがショート派の衣装なのかもしれない。

56 :: 2017-12-18 12:18:03 1.14ZNY 1人 ←投銭

 
 とりあえず、ついて行くか。
 俺はそのショート派だと思われる人の、大きな列に紛れ込んだ。



ーー萌奈視点ーー

【移動テキ屋型要塞ペテンシー内】

「俺たちの幸運と、元国家予算君の今後を祈って、乾杯っ!!!」

「「「うおおおおおーーーー!!」」」
 団長の音頭の後、皆のジョッキが高々とあがり宴が始まった。凄まじい熱気だ。
 何故サトシがあれほどのBitzenyを持っていたのかは謎だけど、それが今、全部私たちの手元にあるからだ。


「おう! 飲んでるか萌奈」
「飲んでるよ」
 カウンターでひとり飲んでいた私に、団長が焼き豚を頬張りながら話しかけてくる。

 
「今日は良かったな。
 あの様子じゃ、あいつ俺たちが去った後も気付いてないぞ」
 そう言って機嫌良さそうに笑ったあと、私の隣に座り凄みをきかせてきた。

「……お前、なんで最後あんなこと言った?」
「なんのこと?」
 とりあえずはぐらかす。

「とぼけんじゃねえ。
 なんであのタイミングで画面共有のこと教えた?
 一瞬肝を冷やしたぜ」

「別にいいじゃん。すでにツールは起動していたし
 勝利宣言、みたいな?」
 適当にはぐらかす。

「なんで他の通貨は盗らなかった? いつもなら根こそぎやるだろ?」
「別にいいじゃん。どうせ金にはならないよ」
 もちろん嘘だ。西暦2013年生まれ。140年以上を生きている私は、実はあのとき見た通貨のほとんどを知っていた。
 市場にほぼ流通こそしていないが、その価値もだいたい把握している。
 だけどそれを、こいつらに教えてやる必要はない。

「……ふん、まあいい」
 立ち上がる団長。


「いいかーお前らっ!!
 おそらく俺たちは次の番付更新で
 今の35位から7位付近まであがるはずだっ」

「「「おおぉお!!」」」
 皆の熱気が上がった。

「これはチャンスだ! 俺たちがロング派の頂点に立つ!!!
 だから更新で周りに把握される、その前に勝負をしかけるっ!」

「「「おおぉお!!」」」
 皆の熱気がさらに上がった。 ……まだ上がるの?

「そのためには! 手に入れたBitzenyを一刻も早く
 メトロゼニィに換金する必要がある!
 ……が、Bitzenyの現在の市場流通数は約57000枚!
 このメトロゼニイ内だとさらに少なくなる!」

「市場に直接流しちまうわけにはいかねぇと?」
 団員の一人が問いかける。

「そういうことだ! 希薄化しちまうし、それ以前にぶつけられる板がねぇ!
 他の通貨ペアに慎重に分散したとしても、14000もの枚数を流せば間違いなく他に気づかれる!」

「アテはあるんですかい?」

「ふっ」
 不敵に笑う団長。 たぶんいつものキメ言葉がくる。

「俺を誰だと思っている? メトロゼニイが生んだテキ屋界の奇跡の至宝、ペテンシー様だぞーっ!!!」
「「「うおおおおおおおぉおーーー!!!」」」
 もうサウナ状態だ。 何回聞いても意味わかんないし。 

 私はこっそりと宴を抜け出した。

57 :: 2017-12-18 13:21:19 10.0ZNY 1人 ←投銭

「プリンセス・ゼニイ...」

瑞穂は戸惑っていた。姿かたち、そして声までが自分とそっくりの存在がいることに。
実態があるのかどうかは分からない。でもあれは<自分>だ。

―自分のことは自分で確かめなきゃ

式典に向かう列に紛れて広場へと向かう瑞穂。
皆同じ服装をしているが、それは学園祭の演劇で着る衣装と瓜二つで、
ちょうど洗濯のためにスクールバッグに入っていたので瑞穂もすぐに着替えたのだった。

―偶然にしては出来すぎている

と思いながらも、皆と同じ衣装を着て、顔も布で覆った。
プリンセス・ゼニイと顔が同じだとばれたら、とんでもない事になるだろうことは想像に難くなかった。

―お兄ちゃんもぜにぃ姫もどこに行っちゃったのかな?

考え事をしながら歩いていると、何かにつまずいて派手に転んでしまった。
「イタタタタ・・・」
あたりの人は無関心に行き去ってしまう中、一人の女の子が瑞穂に手を差し延べた。
「大丈夫ですか?」
衣装こそ皆と同じではあるものの、白猫のお面を頭につけたちょっと独特な女の子だった。

「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
女の子はニコっと笑って行ってしまった。

時刻はまもなく式典開始の10時を迎えようとしていた。

58 :: 2017-12-18 21:30:44 2.24ZNY 2人 ←投銭




「お~~いっ キミ! そこのキミ!!」



 俺は今、式典に向かうショート派の人たちの列に紛れ込んでいる。
 誰かが呼ばれているみたいだ。


「おいっ 無視するな!」
 肩を掴まれた。

「あ…… 俺ですか?」
 俺だったらしい。ちょっとガタイのいいメガネの男に絡まれる。
 
「君しかいないだろう! ユニフォームはどうした!? ユニフォーム!!」
 ユニフォーム?

「……えっと、その学園祭の演劇の服みたいなやつですか?」
 ユニフォームって言うんだそれ。

「ユ…… ユニフォームを知らないだって!?
 もしかしてキミ、新人かい? 
 これから始まる式典は、みんなで紡ぎだす一体感がとても大切なんだ!
 はあぁぁぁぁ全く! 仕方ない! 僕の予備を貸してあげるよ」

「ど、どうも」
 ものすごい溜息とともに貸してくれた。ユニフォームゲットだぜっ。


「すいません。ところで今日はなんの式典なんですか?」
 そういやロング派の人達からは全然話聞けなかったな。訊いてみよう。


「おいおいおい本気かい!? 今日はプリンセス・ゼニイ様が番付四天王入りを果たした記念すべき式典だろっ」
 隣からヒョロイメガネが割り込んでくる。……番付?

「えっと、みなさんはショート派なんですよね?」
「ショート派? なんだそれ?」
「……え?」
 あれ? 違うの?

「なんか元々いた人達がロング派で、後から来た金持ってる人達がショート派とか聞いたんですけど。
 で、今日の集まりはショート派だって」
 こんな感じじゃなかったけ?

「へぇ そんな風に言われてるんだ」
「元々いた人たちってスチームマインとか掘ってた人?」
 太ったメガネが会話に加わった。

「後から来たってのは運営変わった後ってことか?」
「いや、たぶん後から来た人って、ゼニイ様目当ての俺たちのことじゃね?」
「あー なるほど! 理解!!」
 ……なんかロング派の人達とノリが違うな。

「ゼニイ様目当てって?」と、俺。

「ああ、俺たちは別にこのゲームをプレイしたくてインしてるわけじゃないんだ」
「そうそう、だからショートとか言われてもねぇ」
「ま、ゼニイ様の仲間って意味では俺らもショートになるか?」
「ゼニイ様はこのゲーム頑張ってるしな~」
 
 そこからゼニイ様がいかに素晴らしいかを皆で競い合って語りだした。

「まあ君も体験したらすぐにわかるさ。 ……ゼニイ様の素晴らしさがね」
 カッコいいメガネの人が締める。 うん、よくわからん。


 時刻はすでに11時。会場に着いたが、式典はまだ開始していない。
 アナウンス通りには大抵いかないらしい。
 通はそれを見越してギリギリを狙う、とか、俺はどうでもいい話を隣のメガネから聞いていた。


59 :: 2017-12-19 03:38:03 2.14ZNY 2人 ←投銭

「あっ、そうそう。これも折角だから貸してあげるよ」

ガタイのいいメガネの男から俺が受け取ったのは、サイリウムだった。

これって、まさか・・・ネギを持ってる奴がいないのが何よりだ。

俺がそんなことを考えていると辺りの照明が落ち、ついに音楽が流れ始めた。

なんだろう和風でありながらテクノポップが入っている。

「わらわの歌を聴けえええええええええ!!!!」

彼女は自ら号令をかけると、音楽と共に出現した。

えっ?えっ? ちょ、ちょっと。マジかっ!

俺が軽く混乱していると、周りの男たちは黄色い歓声をあげた。

「うおおおおお、プリンセス・ゼニイイイイイイイ!」

次々とホログラムの衣装が変わりながら、彼女の歌声が会場に響く。

「あれが、プリンセス・ゼニイ・・・」

歌には魔力があるといったのは誰だったろうか。確かに彼女の歌にはナニか人を引き付けるものがあった。

彼女の歌と踊りに魅了された人々は恍惚の表情を浮かべている。

そして、式典は彼女のこの一声で最高潮を迎えることになった。

「rain!」

彼女の掛け声と共に、仮想通貨の投げ銭の雨が降り出したのだ。

60 :: 2017-12-19 17:08:30 2.24ZNY 2人 ←投銭

 
と、その時!

 ライブの開始に合わせて広場をドーム状に覆っていた屋根の一部が、大きな爆発音と共に崩れ落ちた!
 あ、式典だったっけ? まあいいや。

「何が起こったんすか!? メガネさん?」隣のメガネに訊く。
「……ちっ、ちくしょおおぉおおぉー!! またか!? また銭形かっ!?」
 半裸でユニフォームを振っていたメガネが吠えた!!
 ……銭形?

「――今は昔、この世界のスチームパンク的な雰囲気を取り戻すまで ……俺は、戦い続けるっ!!」

 瓦礫となった屋根、下敷きになったユニフォームたちの山を掻き分け、
 ベージュのトレンチコートを身にまとったダンディな中年男が姿を現した!
 ホントだ銭形だ! 銭形のとっつぁ~ん!!

「――怪盗銭形、推参っ!!!」 ばばーーん!!


「……か、怪盗銭形?」
 とっつぁん怪盗なのん?

「「「……何度も何度も神聖なライブを汚しやがってぇ!! 絶対に許さんぞぉ!!」」」
 半裸のメガネの人たちが一斉に吠えた。 やっぱりライブだった。

61 :: 2017-12-19 18:34:29 2.1ZNY 2人 ←投銭


「私の歌は誰にも止めさせません!!」
 彼女はそう叫んだ後、マイクを握りしめ声量を上げてまた歌い始めた。
 それに合わせてオーディエンスもサイリウムを振るのを再開する。

 銭形はステージに向かって突進。
「今日を解散ライブにしてやるぅーーー!」

 ただし銭形、人の壁が邪魔で進めない。

 なんだか面白そうだな、そうだ!あのおっさんに手を貸すか!
 ステージまで辿り着ければ瑞穂に何があったのかも分かるかもしれない。
 
「おお、少年!協力してくれるのか!」
 二人がかりで人の列をこじ開けて進んでいく。もう少し、もう少し... 

62 :: 2017-12-19 20:21:25 1.1ZNY 1人 ←投銭


「おいっ あの新入り、裏切りやがったぞっ!?」
「アイテムを惜しむなっ! まとめて消し炭にしてやれっ!!!」
「小僧っーーー!! 俺のユニフォームとサイリウムをくぁwせdrftgyふじこlp!!!!」
 
 後ろからメガネたちの怒号が飛び交う!
 あれ? とっつぁんより俺にヘイトが集まってる!?

63 :: 2017-12-19 21:31:14 11.14ZNY 2人 ←投銭


 元々悪者として定着しているとっつぁんより、仲間だと思って優しく接したら裏切られた俺の方が憎らしいって奴か。
 激昂したメガネたちが俺達を追って列に入ってくる。このままじゃ追い付かれる!

「「「「銭形を進ませろーーーーー!」」」
 あれ?
 後ろから羽交い絞めにされるメガネ。何故か同じショート派のユニフォームを着た奴らに妨害されている。

「何がどうなってんだ!?」
「あれは...私の”ファン”だろうな。」
「ファン?」
「カリスマ性があるからな、私は。毎回暴れに来る時、ショート派連中の中にも目を輝かせて見てる奴がいる。」
「そんな奴らが君に影響されてついに動きだしたんだ!」

64 :: 2017-12-19 21:48:29 1.1ZNY 1人 ←投銭


「なんだって!?」
 とっつぁん自分でカリスマ性とか言い出したぞ?
 
 ……そして俺に影響されて奴らがついに!?

「とっつぁん! まさか俺も…… 俺もカリスマなのか!?」

65 :: 2017-12-19 22:55:59 12.24ZNY 3人 ←投銭

「それは半分正解だ。」

とっつぁんの言葉が正しければ、つまり、残りの半分は不正解ということになる。
どういうことだ?
とっつぁんは続ける。

「君のカリスマ性に影響されて動き出したショート派だが、君自身も彼らから何らかの影響を受け、常にカリスマ性が変動している。
zenyと同じだな。皆が価値があると思うから、実際に価値がつく。
君の存在自体がカリスマなのではなく、皆の想いが君をカリスマ足り得る存在にしてくれたのだ。
そういう意味で、半分正解、半分不正解だな。」

66 :: 2017-12-19 23:20:42 11.14ZNY 2人 ←投銭

うん??半分正解、半分不正解??
相場な~…
いやそうだな~
「だじゃれかよおおおおおおおおお」

67 :: 2017-12-20 01:18:23 1.1111114ZNY 1人 ←投銭


 おっと、いかんいかん。自分のダジャレに突っ込んでしまった。

 
 俺の抱えている含み損の14000znyだって、150年後には国家予算並みだ。
 そんなBitzenyとちっぽけな俺の存在を、同列にとっつぁんは見てくれてる。


「……な、なんてことだ。それじゃあ世界は、世界は希望に満ちているじゃないか」
 俺の頬を涙が伝う。 とっつぁんのカリスマ性マジパネェ……


「少年っ 避けろっ!!!」
「お兄ちゃん避けてっ!!!」
 
 え? ……って、瑞穂!?


 俺が振り向くのと同時に、
 メガネたちが放った大量の魔法の矢が全身を貫いた。

「……いいいいいぃ!!」
 あまりの激痛に身体がよじれる。 こういうのアリの世界っ!?


68 :: 2017-12-20 02:30:28 1.0ZNY 1人 ←投銭

「ロールバック!」
少女の声が高らかに響きわたる。

......いいいいたくねー!どうなってんだ?

「サトシ、大丈夫?」
「も、萌奈・・・。あれ?さっき突然消えて」
「ごめん、今は話してる状況じゃないみたい」

たしかに状況は最悪だ。周りをショート派の一行に取り囲まれて、絶体絶命のピンチ!どうする俺?

そういえばさっき瑞穂の姿が見えたはずなんだけど。どこ行った?
って、あいつステージに向かってやがるー!

69 :: 2017-12-20 10:30:19 1.14ZNY 1人 ←投銭


 顔を布で覆ってるけど、あれ瑞穂だ。間違いない。

 じゃあステージ上で歌い続けるプリンセス・ゼニイは誰??
 つーか、この状況でメンタル鋼すぎるだろ!

 とっつぁん派に寝返ったユニフォームをあらかた蹴散らしたメガネたちが、
 再び、俺に向けて魔法の矢のようなものを撃ってきた。

「萌奈っ! もう一回さっきの頼む!!」
 へっ、もう俺にそれは通用しねーぜ! 萌奈先生お願いシャッス!!

70 :: 2017-12-20 14:50:00 1.0ZNY 1人 ←投銭

「・・・ない」

萌奈は青ざめた表情で何かを言っているが群衆の喊声に掻き消され上手く聞き取れない。

「どうした!?」
俺は声を張り上げた。

萌奈もそれに応える。
「もう出来ない!」

へ?おしまいだ、俺は今度こそ死ぬのか。
こんなところで死にたくねー。死にたくねーよ!

その時だった。眩い光にあたりが包まれたかと思うと、放たれた魔法の矢を和傘で跳ね返す女の子の姿がそこにはあった。

ひとしきりの矢をやり過ごし、女の子は俺たちに向かってニッコリと笑って言った。

「やっと見つけたよ!ぜに姉」

71 :: 2017-12-20 21:53:39 1.1ZNY 1人 ←投銭

 
 ……た、助かった! 

 まばゆい光とともに現れた、ちっこくてカワイイ女の子が助けてくれたよ!?
 ぜに姉とか言ってるけど、あの白い猫の妹さん? 

 正直とっつぁんのことも全然わかってないのに、
 どんどん新キャラ出てきてもう訳わかんない! 助けてドラ〇もん!


 …って、あれ? なんだ? 周りがしんと静まり返っている。


「て、天使だ。 天使が舞い降りた………」
 静寂に包まれる中、ひとりのメガネが呟いた。 


「天使が舞い降りたぞーーーーーっ!!!!」
「「「「うおおおおおおおおーーーーーーーーーっ!!!」」」

 ユニフォームたちが雄叫びを上げた! 
 なんだなんだ!? 俺も叫んどけ! うおおおおーーーーーーーーぃ!!


 その雄叫びはまさに鼓膜をぶち破らんばかりの勢いで、
 ただひたすらに歌い続けている、プリンセス・ゼニイの歌声を掻き消した。

 ちょっとちょっと。プリンセスさんの鋼のメンタルだって限度があるよ?
 じんわり涙目なのは気のせいか?
 可哀そうだからどうか気のせいであって欲しい!

72 :: 2017-12-20 23:04:33 1.49ZNY 2人 ←投銭

「どうやらキノセイらしいな」

とっつぁんが呟く。
ほっ、よかった、涙目なのは気のせいみたいだ。

「キノセイ...?」
「ほんとだ!キノセイだ!」
「うぉぉぉぉぉーーー!!」
「キノセイ!」「キノセイ!!」

突発するメガネ達の大合唱。

「つーか、何でこいつらキノセイって叫んでんだ?」

おっと、つい独りごちてしまった。

「そりゃあ、女の子が木の精だからだな」

えええええええ!!!
これ以上属性増やさないで!?
ぜにぃ姫が猫になっただけでも、相当なアレなのに、その妹が木の精ってさぁ…
てか、キノセイってそういう意味か!
え、てか何でとっつぁんは当たり前のように木の精受け入れてんの?
俺まだ理解できてないんだけど!

73 :: 2017-12-21 00:08:31 1.49ZNY 2人 ←投銭


『皆さん。落ち着きなさい』

 頭の中に声が響いた。 これは? プリンセス・ゼニイか??

『メガネのひとりが裏切ったことも、
 キノセイさんのことも、
 ひとまず置いておきましょう』

 ……なんだ!?


『今はただ、祝いましょう!!!
 開発者様、3年ぶりの凱旋ですっ!!!!!』


 そう、ここからが新しい幕開け。
 この声が誰だっていいじゃない。


 今はただ、祝いましょう?
 俺の14000zny、ガチホしててよかったほんと!

74 :: 2017-12-21 18:44:23 1.1ZNY 1人 ←投銭



「か、開発者……? そんな、一体何が…… 3年振り??
 プリンセス・ゼニイが開発者と呼ぶ人間はただ一人のはず……」
 隣で萌奈が震えている。

 あれ? なんとなく一瞬喜んだけど、そういやここって2156年だよな。 どういうことだ?

「……サトシ、あなたの仕業なの? あなたの目的は何!?」
「え?」 
 俺の仕業? 目的? 

「初めて会ったとき、ビットコインが一番メジャーって言ったよね。 
 過去の通貨をあれだけ所持していて、さらに西暦を訪ねてきた」
 う……?

「あなたはこの時代の人間ではないでしょう? どの時代から来たの!?」
 バレてた……。 でも別に何も企んでなんかないんだけど。 

「答えて!! 私の記憶ではBitzenyの開発者は一度も姿を見せていない!
 そこにいる女の子も、さっき手を取ったとき、
 プリンセス・ゼニイと同じ波長を感じたわ! その子は誰っ? 
 あなたの時代には何故プリンセス・ゼニイが2人いるの!?」
 
 …2人?  プリンセス・ゼニイが??

「お面に封印してやったプリンセス・ゼニイの妹だって、私の知っている姿と違うわ!」
 ……お面に封印? ぜにぃ姫じゃなくて、プリンセス・ゼニイを? 妹??

「ちょっと待ってくれ! わけわからん!! そもそもプリンセス・ゼニイは誰なんだ!?」
 全然思考が追いつかないっ! 

「何を言っているの? 私と出会ったとき、私が封印する前に、あなた会話してたでしょう?」

 あ、そうか…… プリンセス・ゼニイ=ぜにぃ姫 ……か。 
 姿形のせいで確信が持てなかったが、名前でなんとなくそんな気はしてた。

 でもそれなら何故、瑞穂の姿をしている……? 


75 :: 2017-12-22 00:55:12 30.0ZNY 1人 ←投銭

「すまぬが、横から話は聞かせてもらったゾ。おぬしはプリンセス・ゼニイは誰なんだ?と言ったな」

…っていうか、こいつ誰なんだ?なんか、顔はグレーな色してるし、なんか昔の電気部品みたいなものいっぱい持って…

「今、私のことを誰なんだ??と思ったな。おぬしは拙者のことやプリンセス・ゼニイは誰なんだと…
誰なんだ、誰なんだとそんな事ばかり考えておる」

そこへもうひとり、へんな男が話に割り込んできた。
「またお前、知らん人にからんで……
お前は誰だを英語で言うと”ふぅあぁあゆう”♪♪
…英語で言うと”ふぅあぁあゆう”♪」

なんだ、今度は魚の口を手につかんだ変な奴が来たよ…
めどくさああああ
こいつらのノリにはついていかれないな…
めんどくさあああああ

そのうちにその2人組はむこうの方へ歩いて行ってしまった。
ずっとむこうの方へ行ってしまったが、遠くのほうから声がした。

先ほどの顔がグレーの方の男が
「ワシはかなえと申す、そんでこの魚の男はMTMTじゃ」
「わしらの事をなんでか知らんが、人からは銭忍者(ぜにんじゃ)と呼ばれておる」
「そして、もうひとつ、プリンセス・ゼニイは誰かは知らん、ちょっと知ったかぶりをしたかっただけじゃあああああ」

なんだ、あいつら??銭忍者??くだらねえなあ
めんどくさあああああ

76 :: 2017-12-22 02:33:10 1.14ZNY 1人 ←投銭


 ……しかし。
 今のがセカンドライフ満喫してる勢って奴か?

 急に出てきたのは謎だけど、いいなぁセカンドライフ!!
 俺も働きたくないでござる! 

 
 こんな訳わかんない状況からは、背を向けて逃げ出して、
 魚釣ったり、スチームマイン掘ったり、
 蒸気で動くペニー・ファージング型の自転車を乗り回したり、
 そんな平穏でのんびりとした生活を、このスチームパンクな世界で送ってもいいんじゃないか? 

 莫大な利益を得てこの仮想都市を購入した、
 セカンドライフを送ってる男ってのがここのゲームマスターなんだから、
 今のこの状況だってどうせ茶番だ。

 仮にそいつが黒幕だったとしても、何か企んでいたとしても、
 ここはセカンドライフを送る人間にとっては、とても優しい世界のはず。

 だったら現実世界に戻る必要なんてない。 となりにいる萌奈と結婚するのもいいな!
 うん、俺にとってはこの世界が現実だ!!
 ……そうだ。



 「ユートピアはここにあったんだ!!!」




 ――――――502 Bad Gateway―――――――
 

77 :: 2017-12-22 18:55:33 10.0ZNY 1人 ←投銭

なんだ?なんだ?
あたりが突如ブラックアウトして、俺の目の前に、無数の電子的な英語や記号が流れている。
これは・・・

「ロールバック」
へ?
暗闇から女の子の声がする。
「だから、ロールバックだってばー」
目の前に現れたのは“あの時”の女の子だった。

「き、君は・・・」
女の子は“あの時”と同じようにニッコリと笑って言った。

「私はりん」
「りん・・・」
「うん、りん。みんなからはりん姫って呼ばれてるの。ぜにぃ姫は私のお姉ちゃん」
「お、お姉ちゃん?!」

状況がうまく飲み込めない。
でも確かに言われてみると、そのりんと名乗る女の子にはぜにぃ姫の面影がある。
で、ロールバックって何だ?

「今ロールバックって何だ?って思ったでしょ?」

ドキッ!俺、サトラレにでもなっちまったのか?

「違う、違う。私の能力。この世界に来て“経験値”とかいうのを手に入れてさ、不思議な力を使えるようになっちゃったんだよね。さっき見たでしょ?傘で矢をやり過ごすの」

「あ、あぁ・・・」

「私がいなかったらこの世界に閉じ込められちゃうところだったね!銭の世界に」

「銭の世界・・・」

「まあ、君にとってはその方が良かったかもしれないけどね。ユートピアがあったー!なんて叫んでたしね」

女の子は笑いながら言う。
恥ずかしい・・・。

「もう、そろそろ転送されて来るはずだけど・・・あ、きたきた!」

りん姫がそう言うと、目の前に瑞穂とぜにぃ姫の姿が突如現れた。
「お姉ちゃん、ひさしぶり」女の子はまた“あの時”のようにニッコリと笑っている。
「そなたがどうしてここに・・・」ぜにぃ姫は戸惑っている。
俺と瑞穂は目を合わせ、ふたりして、何がどうなっているのか全く分からないといった表情をした。

りん姫が切り出す。
「細かい説明は後でするね。とにかく、この世界からは一旦出ましょ」
「この世界では近いうちに“銭の戦争”が始まるわ。でも今の私たちじゃ勝ち目が無い」
「帰りましょ。私たちの居るべき場所に」

俺は薄れゆく意識の中、なぜか萌奈のことを想っていた。

第三章 銭の世界 -完-

78 :: 2017-12-22 22:03:39 1.1111111ZNY 1人 ←投銭



「お…… お、俺のBitzenyがないっ!!!!」




 俺たちが現実世界に戻ってから数日、ようやくいつも通りの日常が戻ってきた。

 違うのは、ぜにぃ姫が飼い猫として、りん姫が居候として瑞穂の部屋で暮らし始めたこと。
 りん姫の居候を両親に認めさせるのには骨を折ったが……

 と、それはまあ置いといて、
 どういうこと!? 俺のBitzenyちゃん、GOXされた!?

 

79 :: 2017-12-22 22:46:32 1.0ZNY 1人 ←投銭

 窓の外を見ると、サンタの袋みたいなのを背負った奴が走ってる。
 あいつか!俺のゼニー取りやがったの!

「逃がすかっ!」
 
 素早く階段を駆け下りて、靴を履く。

「お兄ちゃんどうしたの?」
「盗まれたんだ!」
「何を?」

 私の質問に答えずにお兄ちゃんは走ってっちゃった。何があったのかな。
 今日の朝ごはんは卵焼きと目玉焼きとお味噌汁。姫ちゃん二人の口に合うかなあ。
 お父さんとお母さんは旅行に行っちゃったから私が頑張らなきゃ。

80 :: 2017-12-23 07:52:57 2.1ZNY 2人 ←投銭

第四章 0からのスタート

「おそらく前の世界でBitZenyを盗まれたのじゃろう」

私とりん姫、そして猫のぜにぃ姫で食卓を囲み、さっき慌てて外に出ていった兄のことを話した。

「今のさとしに以前のような力は感じられぬ」
「そうね。ただの庶民にしか見えないわ。あ、この卵焼き美味しい♪」
「うむ、わらわも甘くて好みじゃ」

どうやら私の作った朝食は2人のお姫様の口にあったらしい。良かった良かった。

「じゃあお兄ちゃんは何を追いかけにいったんだろう?」
「分からぬ。気が動転してとりあえず走り出したい衝動でもかられたのじゃろう」
「そっか、ならお腹空いたらすぐ帰ってくるね」

相変わらず突拍子のないお兄ちゃんだなぁ。

「あ!そういえば聞いておかなくちゃいけない事があったんだった!結局元の世界に帰ってきたけど、私たちはこれからどうすればいいの?」

味噌汁をお行儀よく飲んだ後、りん姫は口を開く。

「BitZenyを手に入れなければならないわ。ここの世界にはBitZenyが豊富にあるみたいだから沢山手に入れるにはうってつけなの」
「なんでBitZenyが沢山いるの?そもそもBitZenyってなんなの?」
「お主は何にも知らぬのじゃな」
「ちょっとは知ってるよ!仮想通貨?とかいってネットの中のお金ってお兄ちゃん言ってた!」
「この世界ではの。だが他の世界では違う。貴重な通貨じゃったり、力のステータスじゃったり」

なんかBitZenyってすごいんだ!

「そう、だからBitZenyが0になった前の世界ではゲームオーバー。その世界から退場させられたの」

あー、なる。

「他の世界に行くにはBitZenyを沢山手に入れる必要があるわ」
「で、この世界ではどうやってBitZenyを手に入れる事ができるのじゃ?」

えーと、お金で仮想通貨って買えるんだよね。
でもお小遣いあんまり残ってないや。

「とりあえず、バイト?」

こうして、私たちは0からスタートするのだった。
ってかお兄ちゃん早く帰って来いや!

81 :: 2017-12-23 07:53:25 0.0ZNY 0人 ←投銭

「くっそお、間にあわなかったかああ、あの噂は本当だったのか…、とにかく確認しないと…

やっぱりLさんのもやられたって噂も本当だったのかも…」

何、さっきからお兄ちゃん、ぶつぶつ言ってるんだろ…

「誰??お兄ちゃん、そのLさんって?」

「誰って?Lさんの事か??オレもくわしくはわかんないが、
みんなLさんとかMr利休(りきゅう)とか言われてる人のことだよ」

「何者かの手によって、その利休(りきゅう)さんのゼニーも大量に取られたって噂があったんだよ、だからオレのゼニーも取られたのかも??って事だよ」

82 :: 2017-12-23 08:00:24 1.11111111ZNY 1人 ←投銭

30秒差の投稿ワロタw

83 :: 2017-12-23 08:08:24 1.1111111ZNY 1人 ←投銭

30秒差の投稿ワロタw

84 :: 2017-12-23 09:04:21 1.0ZNY 1人 ←投銭

「お兄ちゃん、急にどうしたの?壊れたロボットみたいになっちゃって・・・」

85 :: 2017-12-23 09:56:04 1.0ZNY 1人 ←投銭

「ごめん、ごめん、30秒差の投稿ワロタwってなんだろ…
っていうか、ワロてる場合ではないんだよおおおお

まず、その利休(りきゅう)さんの事を調べないと、
調べないと…」

86 :: 2017-12-23 10:22:09 1.11111ZNY 1人 ←投銭




「はぁああああ、しかし俺のBitzeny…… きっついなぁ」

「まあまた手に入れたらいいじゃん」
 私は軽くお兄ちゃんを慰める。

「簡単に言うなよ……。14000zny、今の相場で30万円くらいするんだぜ?」
「うへっ!?」
 私のお小遣い5年分だ!!


「うーん、ちょうどこの夏木市で、来週から銭杯戦争が始まるはず。それに参加したらどう?」
 りんちゃんが何やら提案してきた。銭杯戦争?

「銭杯戦争? 銭杯ってなんだよ」
 お兄ちゃんが訪ねる。

「銭を持ってる人同士で戦って、負けた人の銭は銭杯に吸収されちゃうの。んで、最後まで残った人がそれを総取り出来るんだ」
 
「聖〇戦争のパクリみたいだな! あ、じゃあさっきの俺が追いかけた袋持ってた奴って……」
「うん、たぶん参加者が偵察に放ったか、フライングで襲わせるための刺客だったんじゃないかな?」
 ええー それなんか怖いよ??

「じゃあもしかして、利休さんもそれに?」と、お兄ちゃん。

「可能性はあるね。 まあでもサトシはもう襲われる心配はほとんどないと思うよ。
 もう銭持ってないってバレちゃったはずだし、向こうにメリットないし。
 逆に、こっちから仕掛けるのはありかな? やっちゃう?」
 りんちゃん、やる気満々である。

「仮にそれに参加するとして、どうやって戦うんだ? 俺、戦う力なんてないぜ?」
 お兄ちゃんへなちょこだしね。


「召喚するんだよ。ぜに姉を触媒にして向こうの世界から!」

87 :: 2017-12-23 12:59:39 2.1111111ZNY 2人 ←投銭


「30秒差の投稿ワロタw... 30秒差の投稿ワロタw...」
「お兄ちゃんどうしたの!?しっかりして!」

 ドンッ。
 ガシャガシャガシャ。

 え?背中を叩くとお兄ちゃんが崩れ落ちた。
 体の裂け目から機械部品のような物が見える。

「ロボット?お兄ちゃんがロボットになっちゃった!」
 りんちゃんと二人で呆然と倒れたお兄ちゃんを見る。

「これは偽物かもしれない。どこかで入れ替わったのかも」
「どこで?前の世界から帰ってきたとき?いやさっき外に走っていったとき?」
 

88 :: 2017-12-23 13:49:05 1.111111ZNY 1人 ←投銭


「……ふむ、どうやら何者かに攫われたようじゃな」
 ぜに猫ちゃんが冷静に判断する。

「これは凄い技術だね…… 私、全然気づかなかったよ」
 ロボットお兄ちゃんカッコいい。

「私も気づきませんでした…… ひとまず本物のサトシさんを探しましょう」
 りんちゃんが崩れ落ちた部品を手に取って調べている。

「りんちゃん、何かアテはある?」
 万能のりんちゃんなら、きっとなんとかしてくれるはず!

89 :: 2017-12-23 16:48:54 2.11111ZNY 2人 ←投銭

「アテはないですが、さっき外に走っていた時に入れ替わったと見るのが合理的ですね。私はさっき『もう襲われる心配はない』と言いましたが、その推察はあながち間違っていなかったようです。」
りんちゃんはそう言うが、既に襲われているため、単にこれ以上襲いようがないわけで…...

「確かにそれはそうじゃが、お主、何か犯人の特徴は覚えとらんのか?」
ぜにぃ姫が床の機械に話しかける。ロボットお兄ちゃんは壊れてしまったのに、考えているんだろう。

「リ...リky.....li...」
え、喋った!?
でも......「リ」ってどういう意味?もしかして、りんちゃん!?

90 :: 2017-12-24 09:13:16 1.11111ZNY 1人 ←投銭


「危ない伏せて! 爆発しますっ!!」
「え!? 爆!?」
 りんちゃんが叫んだ! ふっ 伏せなきゃ! って、爆発??

 ――――………?

 10秒ほど経っただろうか? 何も起こらない。私が顔を上げると
 ロボットの残骸があった場所に、
 見たことのない文字と、シャボン玉のようなものが浮かんでいた。

「これは…… りんちゃんが?」

「結界です。私たちに張ると家が損傷してしまうので…… 
 しかし相手も本気ですね。三重に張った結界が、内側から2つ吹き飛ばされました」
 さすがりんちゃん。なんだってできる。

「……狙いは誰じゃ? わらわか?」
 ぜに猫ちゃんが低い声で訪ねた。

「可能性としてはぜに姉、瑞穂ちゃん、私の順ですね……
 Bitzenyを失ったサトシさんに価値はないので、彼は恐らく人質でしょう」
 お兄ちゃんの評価が辛辣だ! 
 ていうか、私、りんちゃんより狙われる可能性あるの!?


「早く召喚を済ませましょう。瑞穂ちゃん、お願いします」
「……え? わ、私??」
「わらわが触媒とやらになるのか?」
「いえ、ぜに姉はサトシさんのために残します。
 恐らく瑞穂ちゃんの場合は必要ないでしょう。私が召喚陣を描くので、それの前で祈っててください」

「……祈るってどんな風に?」
「適当でいいです」

 ……よし、適当に祈る。それならできる!!

 私は目を瞑って、りんちゃんが描いた魔法陣の前で頑張って適当に祈った。
 まぶたの裏から部屋が暗くなったのを感じ取る。室温も下がり、いかにも何か出てきそうな感じが!


「召喚成功です…… が、これは……」

 りんちゃんの声で私は祈るのをやめ、目を開けて前を向いた。
 そこには寝巻き姿の知らないおじさんがいた。

「誰この人?」
 りんちゃんに訪ねる。

「英雄アルトリウス・ゼニドラゴン。仮想都市メトロゼニイの番付1位ですね……」
「……なんでそんな人が?」
「私もわかりません。瑞穂ちゃん自身を触媒に、プリンセス・ゼニイを召喚するつもりだったんですが…… 祈り方ですかね?」
 あー、あの私そっくりな人か。っていうか、祈り方のせいにされても困る!


「……こ、ここはどこ? 私は、誰?」
 英雄が口を開いた。 ん? 記憶失ってる?

「記憶を持ったままだと厄介な気がしたので、召喚陣に細工しました。
 でもプリンセス・ゼニイじゃないなら必要なかったかもですね」
 りんちゃんが、こともなげに言ってのけた。


「……こ、ここはどこ? 私は、誰?」
 このおじさん、どうするのっ??

91 :: 2017-12-25 18:36:37 2.111111ZNY 2人 ←投銭

「ほっほっほ、思い出したわい。わしはサンタクロースじゃった。
 みなさん、メリークリスマス!!!

    ☆
    ∈∋
   ∈★∋
   ∈☆≡∋
  ∈★≡★∋
  ∈☆≡☆≡∋
 ∈★≡★≡★∋
     凵

 ありゃ?トナカイのルドルフはどこに行ったのじゃ?」

なんだ、このおじさんは・・・。

92 :: 2017-12-25 20:42:33 2.111111ZNY 2人 ←投銭

「わんわーん!!」
突然、けたたましい鳴き声が部屋中に響き渡る。

「おぉ、ルドルフよ。どこに行っていたのじゃ、心配したんじゃぞ」
おじさんはルドルフとの再会がとても嬉しそうだ。見ているこちらも微笑ましい。

「いや、これは不味いですね…」
そんなおじさんとは対照的にりんちゃんがやけに険しい顔をしている。
どういうことだろう…。

93 :: 2017-12-25 21:48:15 1.1ZNY 2人 ←投銭

りんちゃんが険しい顔…っと思ったら
いきなり笑顔で…

りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん…♪♪
りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん…♪♪

ん??何??
りんりんりん…って何??

だってクリスマスでしょ~~~

だから皆で一緒に…♪
☆-ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノイエーイ

りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん…♪♪
りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん…♪♪

なんだ??いきなりテンション高いぞおおおおお

りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん、りんりんりん…♪♪

94 :: 2017-12-26 15:43:41 2.111111ZNY 2人 ←投銭

「はっ!私はなぜこんなところに?」

男はあたりを見回す。状況がうまく飲み込めないようだ。
どうやら、りん姫の魔法で正気に戻ったらしい。

「私はアルトリウス・ゼニドラゴン。メトロゼニイでは英雄と呼ばれている・・・・・・。
 なんだこの格好は!?」

「パジャマ」

瑞穂がすぐさま答える。
男は眉を顰め、考え深げに瑞穂を見ている。

「プリンセス・ゼニイ?」

95 :: 2017-12-27 20:11:13 1.111111ZNY 1人 ←投銭


 間違えられた。一応訂正しといた方がいいかな?
 そう思って私が口を開こうとしたそのとき―――
 

「きゅふっ!?」
 
 かすかに声を発し、その場に崩れ落ちるおじさん。
 りんちゃんがおじさんの後ろに回って、
 そのままおじさんをチョークで締め落としたのだ。
 
 りんちゃん予想外の行動である。
 トナカイのルドルフが横でワンワン吠えている。

96 :: 2017-12-27 21:27:51 2.11111ZNY 2人 ←投銭

「お主、格闘技もできたんじゃな...」
ぜにぃ姫もりんちゃんの行動は予想外だったようだ。
しかし、こんなことをして大丈夫なのだろうか?

「ワンワン!!ワンワンワンワン!!!!」
主人を傷つけられた怒りからだろうか、ルドルフの咆哮が一層激しさを増している。
やっぱり、駄目だよね...。りんちゃん、私を庇うため(?)とはいえ、暴力はやりすぎだよぉ......

「ワンワンワンワン!!ワオーーーーーン!!!」
張り詰めた空気を切り裂くような遠吠えと共にルドルフの全身の筋肉が肥大化する。
流石、日頃からソリを引きずっているだけのことはある…って感心してる場合じゃない!どうすればいいのーー!?

97 :: 2017-12-28 09:41:49 1.11111ZNY 1人 ←投銭


「待て」
「わふっ!?」

 おっと、りんちゃんの待てが入った。
 ……トナカイに待てって通用するのかな?

 見つめあう二人。片方トナカイだけど。

98 :: 2017-12-28 21:33:20 1.0ZNY 1人 ←投銭

 
 見つめ合ったまま動かない二人。
 両者膠着状態が続く。
 主人を失ったトナカイはどうする?
 でも食い殺すのは無理だと思う... 主人の二の舞になるだけだからやめといた方が...

「お手」
 りんちゃん...!!

99 :: 2017-12-28 23:31:49 1.0ZNY 1人 ←投銭

「ワン!!」

ルドルフの右ストレートがりんちゃんの顔面にHIT!

100 :: 2017-12-29 01:09:55 1.1111ZNY 1人 ←投銭


 勝ち誇るルドルフ。だがしかし。

「残像だ」

101 :: 2017-12-29 04:03:15 1.0ZNY 1人 ←投銭

ルドルフの背後には不敵な笑みを浮かべるりんちゃん。
その手にはへし折られたルドルフのツノ。

「もう一本も逝っとくか?」

青ざめるルドルフにりんちゃんは再びこう告げた。

「お手」

102 :: 2017-12-29 11:37:51 1.1111ZNY 1人 ←投銭

 
 りんちゃんが何事もなかったかのように、再びルドルフにお手を要求した。
 どちらが上かをはっきりさせるつもりだ。
 これはもう心もポッキリ折れただろう…… ツノとともに。

 「えっ!?」
 私は目を疑った。
 
 ルドルフがりんちゃんの手を払いのけ、再び右ストレートを放ったのだ!

 ツノを折られた痛みに顔はゆがみ、絶対的強者を前に身体は震えている。
 それでも心は、ルドルフの心は折れない。
 
 どうして? どうしてそこまで強くなれるの? ご主人様のため?
 もし見た目が可愛かったら、健気なルドルフを応援してしまったかもしれない。


 しかしルドルフが放った渾身の右ストレートが
 りんちゃんに届くことはなかった。

103 :: 2017-12-29 11:52:08 2.11111ZNY 2人 ←投銭

狼狽するルドルフを尻目に不敵に笑うりんちゃん。
右手を振り上げ右斜め前を指さし、顔面蒼白のルドルフに告げる。

「ハウス」

104 :: 2017-12-29 13:34:17 1.11111ZNY 1人 ←投銭


 ―――巣に帰れ。

 りんちゃんの最後通告だ。
 お願い降参して!
 ルドルフ鍋ルートに進んじゃうよっ!!

105 :: 2017-12-30 10:52:49 2.1111ZNY 2人 ←投銭

「ワォオオオオオオン」

ルドルフは窓から帰っていった。
主人のおじさんを残して。
良かった、ルドルフ鍋にされなくて。

「これでいいかしら?」

りんちゃんは気絶しているパジャマ姿のおじさんに問いかけた。

「やるじゃないか、小娘」

おじさんはむくりと起き上がる。

「ルドルフが手も足も出ないとは。いやはや、あなたを試す必要はもう無さそうですな」

あぁ、私たちを試してたんだ。きっとパジャマ姿なのも油断させるためなんだ、きっとそうだ。

「問おう、あなたが私のマスターか?」

「違うわ。あなたのマスターは瑞穂よ」

106 :: 2017-12-30 19:00:50 114.114ZNY 1人 ←投銭


 うぅ。りんちゃんがマスターでいいのに。
 おじさんが私の前に来て、ジロジロと遠慮なしに見てくる。顔が近い。


「……そなたはプリンセス・ゼニイではないのか?」
「瑞穂って言ってるでしょ。また締め落とされたいの?」
 りんちゃんが間髪入れずに凄んだ。 おじさんがビクっとなる。

「いや、違うならいい。ではここは? 何故ワシはここにいる?」
 私に訊かれても…… りんちゃんに訊いてください。 
 おじさん全然りんちゃんの方見なくなったな。これも何か試してる?


 りんちゃんが今までの経緯を説明した。
 手違いで召喚してしまったことも正直に告げる。 
 
「銭杯戦争…… 手違いか……」
 おじさんちょっと元気ない? まあ手違いだもんね……
 
「でも英雄で番付1位のおじさんが来てくれたんだから、結果オーライだよ!」
 一応フォローしとこう。これから頑張ってもらわなきゃだし。

「英雄か……」
 あれ? 目に見えて元気がなくなった。なんで?


「ふっ、そうね。番付1位の英雄がいれば怖いものなしね。じゃあ早速サトシさんの救出に向かいましょう」
 よくわからないけど、りんちゃんもこう言ってるし、
 早くお兄ちゃんを助けに行こう!

107 :: 2017-12-31 15:03:11 2.11111ZNY 2人 ←投銭

「いや、今のわしには無理じゃ...」
「え、でも英雄なんじゃ?」
ますます訳が分からなくなる。このおじさん大丈夫かなぁ…

「それは昔の話じゃ」
「でも、番付には1位って書いて...まさか!?」
りんちゃんが何か気づいたようだ。

「そのまさか、その番付、実は同期されておらんのじゃ」
「じゃ、じゃあ、ノードを追加すればいいじゃない!」
「そのテキストはルドルフの角の内部に保存しておってな、さっき折った際に...」
二人の会話の内容はよく分からないが、どうやらお兄ちゃんを助けるのは一筋縄ではいかないようだ。

108 :: 2018-01-01 02:09:33 1.11111ZNY 1人 ←投銭


「それにワシはBitzenyの大高騰で儲けた金を使ってメトロゼニイを買い取り、
 そこで隠居生活を満喫しているだけの老いぼれじゃ。
 その銭杯戦争とやらで戦う力はないじゃろう……」

 へ~。そういえばこっちに戻ってきてからだけど、お兄ちゃんから聞いた気がする。
 経営が悪化した運営会社から、仮想都市を買い取ってセカンドライフ生活を送ってる男がいるとかなんとか。
 なるほど、仮想都市を救ったという意味では英雄に違いないよね。

「締め落としたときに、あなたがこの世界で戦う力がないことぐらいはすぐに気づいたわ」
 りんちゃんが作戦の説明を始めた。

「簡単に言うと、敵ごと私の世界に転送して、そこで勝負を仕掛けるの。
 私の世界は銭の力が全てだから」

「……銭の力が全てだと?」
 おじさんの眉が少し上がる。
 そういえばお兄ちゃんもそこじゃぶっちぎりの凄い奴だっけ?

「そういうことか。さすがはりんじゃな」
 ぜに猫ちゃんがウンウンと頷いている。

「そう。仮想都市のように蒸気や魔法のような力もない。
 ――あなたはそこで、本当の英雄になれる」

109 :: 2018-01-02 11:50:31 5.0ZNY 1人 ←投銭

つまり流れとしては銭杯戦争に参加→ぜに猫ちゃんの力で敵ごと転送→最強のゼニドラゴンさんが相手をフルボッコ→戻って来る→繰り返して優勝→優勝賞金でBitzenyを購入→ついでにお兄ちゃんも救出

完璧だ!

「さぁ行くのじゃお主たち!時は銭なりじゃ!」

こうして、私たちの作戦は決まった。
待っててお兄ちゃん!

110 :: 2018-01-02 16:14:04 1.1111ZNY 1人 ←投銭

 
 とりあえず私たちは外に出た。あてはない!
 おじさんにはお父さんのスーツを着せた。全然違和感ない。

「そういえばノートとテキストだっけ? どうするの?」
「ノードね」
 りんちゃんに突っ込まれた。

「ルドルフを治療出来ればいいんだが」
「どのみちこの世界じゃ番付を見ることが出来ないし、後で構わないわ」
 ルドルフごめんね。早めに治してもらえるように私も頼むよ。

「しかしそなたらが私の強さを過信している恐れがある」
「問題ないぞ。お主の強さはワシもりんも感じ取っておる」
 ぜに猫ちゃんが私の背負っているリュックから顔を出した。
 
 そういえばお兄ちゃんを見て凄まじい力とか言ってたね。

「あ、私の目でおじさんの銭闘力わかるよ!!」
 そうだ! 私の目、忘れてた!

 私はおじさんに向かって意識を集中させた。頭上に数字が現れる。

「おじさんの銭闘力は…… あっ 凄い! 18000を超えてる!!」
「なるほど、私のBitzenyの所持数くらいだな」
「便利な目じゃ」
 うん、なんだろねこれ。

「そういうことは早く言ってください。
 遠くの人の力はわからないんですか?」
「遠くの?? えっと……」
 どうなんだろ? やってみようか。
 意識を集中させたまま、広範囲に散らかす感じで力を込める。

 あ、出来そう。
 ぼんやりと宙に、数字が複数浮かびあがった。意外と私も万能だ!
 
「えっと、わかったみたい」
「ではひとまずその力の出どころに向かいましょう。どこですか?」
 りんちゃんが促す。

「えっと、たくさんあるんだけど……
 あっちに銭闘力10000~120000くらいの反応が5つ。
 向こうに23000くらいの反応が2つ。
 さらに向こうに…… 530000くらい、かな? 反応が1つ。
 ……どこにする?」

おじさんより全然高いけど、問題ないんだよね? ……ないのかな??

111 :: 2018-01-03 12:15:30 6.1111ZNY 2人 ←投銭

「530000にしましょう」
りん姫がさらりと言う。

「でも、おじさんの銭闘力は18000位しかないし、返り討ちにあうんじゃ...」
「私が何の考えもなくそんな無謀なことをすると思う?」
確かにおじさんを締め上げたり、ルドルフの角を折った実績を持つりんちゃんだけど…うーん

「ワシもりんの案に賛成じゃ」
どうやらぜに猫ちゃんも乗り気のようだ。きっと秘策があるのかな?

112 :: 2018-01-03 14:16:39 1.1111ZNY 1人 ←投銭


「……530000の者がサトシをさらった犯人とは限らぬ。
 ならば味方に引き込むのが得策じゃ」
 
 なるほど。確かに味方になってくれたら心強いけど…… そんなに上手くいくかな?

「それにその人が犯人だった場合、
 他から当たったところで徒労に終わるしね」
 軽く笑いながらりんちゃんが言う。
 そっか。10000の人から順に上手く全員倒せても、530000には届かないか。

「しかし530000とは…… 私の全盛期より多いな……」
 おじさんが不安そうに呟く。私も不安しかない。 

「もし530000の人が犯人だったらどうするの?」
 この場合もあるんだよね? なんでそんな人がお兄ちゃんを攫うのか謎だけど。

「そのときはここでやるしかないよね。
 まあ相手が1人ならなんとかなるよ。こっちは4人いるんだし」
 りんちゃんがファイティングポーズをとった。

 あれ? 秘策ないの? ていうか私も数に入れらてる!
 感覚がマヒしてたけど、
 爆破されそうになった時点で警察に駆け込めば良かった!! 銭杯戦争ってなんやねん!


 と、そうこうしてるうちに、530000の人の家の近くまで来た。
 ん? なんかこの辺、見覚えがあるようなないような……


「「ぅぐっ!!!」」
 突然、ぜに猫ちゃんとりんちゃんが声にならない声をあげた。
 
「どうしたの!?」
 座り込むりんちゃんに駆け寄る私。

「ふふっ ……この距離でこれほどか。これが530000の力とやらか。
 ……震えが止まらぬ。この世のものとは思えんな」
 ぜに猫ちゃんがリュックの中で震えながら声を絞り出した。

「……想像以上です。涙出てきました」
 りんちゃんが泣いてる! 可愛い! いや違う落ち着け私!

113 :: 2018-01-03 18:40:44 5.0ZNY 1人 ←投銭

「と、とりあえず呼んでみようか」

インターホンを鳴らしてみる。
ピンポーンと確かに鳴ったはずなのにしばらく経っても出て来ない。

「おかしいなぁ。絶対家の中にいるはずなんだけど」

もう一度鳴らしてみる。

「んー、出て来ないね」
「い、いないなら出直すのも一つの策じゃな」
「そうね、いないなら仕方ないわ。帰りましょう」
「いや、いるよ。2人とも分かってるでしょ?」

というか思い出した!
ここって確か…。

「おーい!タカシくーん!いませんかー!!」
お兄ちゃんの同級生で昔よく遊んで貰ったタカシくんの家だ!

すると玄関の扉を開けてタカシくんが出てきた。

「誰かと思えば瑞穂ちゃんか。N○Kかと思って居留守してたw」

久しぶりに見たタカシくんは、うーん、だいぶ太ったなぁ。

114 :: 2018-01-03 19:36:47 1.1111ZNY 1人 ←投銭


「タカシくん久しぶり。 えっと…… 大きくなったね」
「成長期だからね」
 うん、まあいいや。
 目を凝らすと頭の上に530000が見える。タカシくんで間違いない。
 凄い、お金持ちだ。お兄ちゃんで30万円だから、100万…… 1000万円!?

「今日はひとり? サトシは? 一緒じゃないの?」
 タカシくんが左右を見回す。 

「あ、ううん、お兄ちゃんは一緒じゃ……」
 ひとり? あれ、りんちゃんは?
 
 私も周りを見回す。いない。どこ行った?
 玄関の門まで戻る。あ、いた。道路の電柱の影に隠れてる。

「りんちゃん、大丈夫。友達だよ」
「……信用できません。 罠かもしれません」
 罠って。小さくなってぷるぷる震えている。あのりんちゃんが。 
 530000そこまでか。

「誰その子?」
「……えっと、親戚の子。ウチで預かってるんだ」
「へ~ 可愛いね」
 うん、りんちゃんは可愛い。
 でも頭でも撫でられたらりんちゃんが気絶しそうだ。
 私はさりげなくタカシくんとりんちゃんの間にポジションをとった。


「上がってく? ……今、親いないからさ」

115 :: 2018-01-04 18:17:39 2.1111ZNY 2人 ←投銭

私とりんちゃんの間に不穏な空気が流れる。タカシくんがそんなことをするとは到底思えないが…

「このまま外で立ち話もあれだし、是非上がっていってよ」
どうやら、私に拒否権はなさそうだ。

「りんちゃんとぜに猫ちゃんはどうする?」
「......こうなったら毒を食らわば皿まで。入りましょう」
りんちゃん、それ使い方間違ってると思うんだけど…タカシくんが悪者みたいだよ笑

「......そうじゃな。その…エヌ何とかというのと、間違われては癪じゃしな」
〇HKに間違われたこと、根に持ってたんだ...。

「それじゃあ...」
お邪魔するよ、と言おうとした瞬間、タカシくんが声を荒らげた。

「瑞穂ちゃんはともかく、そこの娘はそんなに僕のことが信用できないのかい!?」

...ドサッ!
え?りんちゃん?

「...わしは何とか耐えたが、こやつの気迫にやられたようじゃな」
タカシくんの上の数字は伊達じゃないようだ。これは前途多難だぞ...

116 :: 2018-01-04 21:52:08 1.1114939ZNY 2人 ←投銭


 ていうかこんな小さな子に声を荒げるなんて酷いと思う!
 タカシくんにはお仕置きが必要だ。

 いつの間にかおじさんもいなくなってるし、私がやるしかない。
 パンチか? キックか? スカートだしパンチだ!

「ご、ごめん。まさか倒れるなんて……。そんなつもりじゃなかったんだ」
 私がコブシを振り上げるのと同時に、タカシくんがオロオロしながら謝ってきた。

 ……まあ530000の気迫をまとってる自覚なんてないだろうしね。
 今回だけ許してあげよう。
 私は振り上げたコブシを下した。

「とりあえずベッドに運ぼう。えっと……」
「私が背負うよ」
 ぜに猫ちゃんの入ったリュックをタカシくんに渡し、
 私はりんちゃんをおんぶして階段を上がった。
 
 数年ぶりのタカシくんの部屋だ。
 人形がたくさん入った棚が2つ、アニメのポスターが壁や天井を埋め尽くしている。
 ……こんな部屋だったっけ?
 私は行く手を阻むアニメの絵が入った抱き枕を蹴飛ばし、りんちゃんをベッドに寝かした。

117 :: 2018-01-06 21:20:58 2.1114939ZNY 3人 ←投銭

「タカシくん、突然だけど手伝ってくれない?」
 タカシ君が用意してくれたお茶を飲みながら聞く。

「手伝うって何を?」

 そうだ。ええっと...何をだっけ。タカシくんを他の反応のところに連れて行けばどうにかなる?

「一緒に...来てくれる?それでいいよね、ぜに猫ちゃん」
「少なくともタカシが味方なら、こっちがやられるってことはないじゃろう...味方ならじゃが」
 タカシ君とは長い仲だけど、いつの間にか趣味も体形も財産も変わってる。
 信用できるかが問題だ。

「え?誰と話してるの?」

118 :: 2018-01-07 10:35:04 2.1111ZNY 2人 ←投銭

「ぜに猫ちゃんだけど?」
「でも、そこには誰もいないじゃないか。少し見ない間に君にリュックに話しかける趣味ができたとはね」
私は訳が分からなかった。タカシ君にはぜに猫ちゃんが見えていない?

「瑞穂ちゃんはもう昔の瑞穂ちゃんじゃないんだね…」
いや、お前に言われたくねーよ。危うく声に出るところだったが、何とか堪えた。
でも、ぜに猫ちゃんが見えないっておかしくない?どちらの世界でも私もお兄ちゃんも猫の存在は感知してたし、、、

「そ、そんな趣味はないから!安心して!それより...」
コホン!
タカシ君がわざとらしい咳ばらいで会話を打ち切る。
「ま、まぁ、瑞穂ちゃんにどんな趣味があろうとも僕は君の味方だ。何でも手伝うとするよ」
......。タカシ君ほんとこじらせてるなぁ…

「でも、ひとつだけ条件がある」
「条件?」

119 :: 2018-01-08 18:22:18 1.1111ZNY 1人 ←投銭


 嫌な予感が…… これ確実にえっちぃこと言われるパターンだ。

「手伝って欲しいことがあるんだ。瑞穂ちゃんは仮想通貨って知ってる?」
 あ、違った。

 ……うん、部屋がこんなでもタカシくんはそんなことする人じゃないよね! うぅ、恥ずかしい。

 でも手伝う条件に何を手伝わせる気なんだろ?
 まあタカシくんから仮想通貨の話題を振ってくれるのは助かる。

「うん、知ってるよ。お兄ちゃんから聞いてなんとなくだけどね」

「……そっか、サトシに教えたのは僕なんだ。通貨に種類があることはわかる?」
「えっと、Bitzenyとか?」
「そうそう。いきなりそこが出るんだね」

 タカシくんがおかしそうに笑った。 どこに笑いどころがあったんだろう??

「まあ話が早くて助かるよ。……倒したい奴がいるんだ」
「……倒したい、奴?」
 タカシくんこそ、こじらせすぎじゃないかな? 

「この町にね。その通貨を53万枚持ってる奴がいる。
 そいつを倒すためにちょっと協力して欲しいんだ」
「ん? 53万枚持ってるのって、タカシくんでしょ?」
「!?」
 タカシくんの顔色が変わった。

「……どうしてそれを? サトシにも言ってないのに」
 あ、しまった。やらかしたっぽい。

120 :: 2018-01-09 21:25:54 6.1111ZNY 2人 ←投銭


「ん...なんとなく...?かな?」
「そんなわけない。」

 ・・・・・・・。
 良い言い訳も思い浮かばず、お互い無言になる。ど、どうしたらいい。

「どうやって知ったの?何もしないから教えて。」
「り...りんちゃんから聞いた...」

 ベッドのりんちゃんを指さしながら答えた。
 ごめん...りんちゃん...

「こいつか、生かしちゃおけん。」

121 :: 2018-01-10 00:44:34 1.1111ZNY 1人 ←投銭


 ええっ!? 

「ちょ、ちょ、ちょっと待った!! 私ですっ! 私の眼で知りましたっ!!」
 まさか生かしちゃおけんが出るとは思わなかったです! 何もしないって言ったのにっ!!


 ……―――――沈黙が流れる。


「……め?」と首をかしげるタカシくん。
「め」うなずく私。

「ふふふっ……」
「えへへ……」
 なんとなく笑い合うふたり。

「生かしちゃおけん」
 だからダーメーッ!!

122 :: 2018-01-11 19:49:27 0.333ZNY 1人 ←投銭


「眼ってなんだ。詳細を教えろ。でないと殺す。」
 殺すって...。タカシ君の口調がさっきまでとガラリと変わる。

「よく見せろ。」
「きゃっ」
 今度は顎を掴まれて、顔を近づけて目をじろじろと見られる。

「何が見える!おい!言え!」
 今はタカシ君の顔しか見えません!

123 :: 2018-01-11 20:19:53 0.333ZNY 1人 ←投銭

 
でも何か言わないとホントに殺されそうだ。

「頭の上に、ご…… 531,543.73582186って見える」
 のけぞって頭上に見えている銭闘力をなんとか口に出す。
 
 するとタケシくんは私を離し、そのままパソコンに向かった。

「僕のローカルウォレットの残高と同じだ」
 そう言って私を睨む。 怖い。 ろーかるうぉれっとって何?

 その後、何やらパソコンを操作し始めるタカシくん。
「これでどう? 数字は変わった?」

 改めてタカシくんの銭闘力を見る。
「あれ? ……777,911.50279843に増えた」
 
 なんで?

「なるほど。ホントに見えるんだね。そしてウェブ上に置いてる分はわからないのか」
 
 そう言うとタケシくんはニヤリと笑った。
 

124 :: 2018-01-11 21:28:27 0.333ZNY 1人 ←投銭

 
「他にもその眼を持ってる人はいるの?」
 タカシくんの尋問が続く。

「えっと、りんちゃんも見えてたっけ?」
 確か、りんちゃんも力を感じるとか言ってたような。
 でも場所は私に聞いてきたな。

「こいつ?また嘘じゃないだろうな」
「も、もう嘘はつかないって!」
 今度は嘘じゃありません!
 
「まあ信じるよ。さっき僕にビビってたみたいだしさ」
 ふう・・・。

125 :: 2018-01-11 23:00:45 0.333ZNY 1人 ←投銭

にしてもタカシくん、まるで別人のようだった...
もう一つ別の人格がいるような感じ。
ここはひとつ試してみるか。

「ねぇ、タケシくん!」
「僕はタケシじゃない!!いくら瑞穂ちゃんと言えども、これ以上適当なことばかり言ってると本当に殺すよ?」
タカシくんが席を立ち、私の方に近づいてくる。
見つめあう二つの影。そのうち一つはひどく怯えている。

「な...何よ。嘘はついてないわよ...」
もう泣きそうだ。なんでこんなことになっちゃたんだろう

126 :: 2018-01-12 00:03:05 0.333ZNY 1人 ←投銭

「で、他のプレイヤーは?」
「え?」
「見えてるんだろ他の奴も。近くにいるか?」
「うん...。数万ぐらいのが町にぽつぽつと」
 まさか...戦いに行く気?

「連れて来いここに」
 え?

「10万ゼニー渡しておく。これで負けやしない。人質はこの女。僕はここでネトゲして待つ」
 タカシ君、何を淡々と言っているの?

127 :: 2018-01-12 01:25:57 0.333ZNY 1人 ←投銭


「なんで連れてくるの? それにこれで負けやしないって…… どういうこと?」
 タカシくんはりんちゃんの作戦どころか、銭杯戦争のことだって知らないはずだ。

「……信じないかもしれないけど、
 来週から、この町では銭杯戦争という戦いが繰り広げられるんだ」

 なんとタカシ君の口から銭杯戦争が出た。りんちゃんが勝手に言ってるだけじゃなかった!

 そしてタカシくんはパチンと指をならすと、 
 空間がゆがみ、タカシくんの隣にスキンヘッドの中年男が現れた。
 あれ? この人って……

「彼の名前は『宗次郎』。代々家に仕える僕の心強い相棒さ」

128 :: 2018-01-12 02:05:36 0.333ZNY 1人 ←投銭

「そういうことじゃったか」
バッグに隠れた猫姿のぜにぃ姫がつぶやく。

え?と瑞穂が振り返ろうとするやいなや、ぜに猫は言葉を続ける。

「これ、こちらを見るんじゃない。いいか、そのままよく聞いておれ。わらわの推測じゃ」

129 :: 2018-01-12 03:11:51 0.333ZNY 1人 ←投銭


 背中でぜに猫ちゃんの言葉を聞く。

「わらわが元いた世界、侍の世界に宗次郎という裏切り者がいた。」
「そやつがこいつじゃ」
 うん、単純明快!

「宗次郎はその腕力、強さを生かして用心棒の仕事をしておった。」
 ふむふむ。

「倫理も道徳も抜け落ちた人間で、誰でも銭さえもらえれば味方についておったんじゃ......」
「そこの女、なぜ黙っている?」
 宗次郎に話しかけられた。

 そろそろ黙って後ろから聞くの限界! 後から聞くね、ぜに猫ちゃん。ごめん!

130 :: 2018-01-12 05:27:07 0.333ZNY 1人 ←投銭


「えっと……」
「まあ、突然何もないところから現れたんだ。瑞穂ちゃんが驚いてしまうのも無理ないよ」
 タカシくんが都合よく解釈してくれた。

「いえ、どうも。宗次郎さんお久しぶりです」
 とりあえず挨拶しとこう。えへへと愛想笑い。怖いよこの人。

「……瑞穂ちゃん何言ってるの?」
「ふむ? どこかでお会いしたことがござったかな?」

 しまった。あのときはぜに猫ちゃんの身体を乗っ取ってたっけ。
 もう私、この状況に全然ついていけてない。

「初対面でした。ごめんなさい」
 謝っとこ。 ……にしてもこの人、なんでこの世界にいるんだろ?

「彼はね、400年前にとある地方で侍王として名を馳せた英雄なんだ」
「侍王じゃとっ!?」
 タカシくんの説明を遮るように、ぜに猫ちゃんが大声をあげる。

 でもぜに猫ちゃんの声は私にしか聞こえないんだよね。

「……400年前? えっと、じゃあ宗次郎さんは幽霊なんですか?」
 とりあえず私が探っていくしかない。

『こら! そんなことはどうでもいいじゃろ! 
 なんで奴が侍王なのか!! そこが大事なのじゃ!!』
 ぜに猫ちゃんに怒られた。 えー? 幽霊かどうか大事だよねぇ?

131 :: 2018-01-12 11:15:39 0.333ZNY 1人 ←投銭

「幽霊ではない」
タカシくんがキッパリと否定した。
幽霊"では” ないっていうけど、400年も経ってたら生きられないよね...

「え、じゃあ何で宗次郎さんは侍王なの?」
『そうじゃ、聴きたいのはそこなのじゃ』
「あぁ、ついに瑞穂ちゃんは空気も読めない娘になってしまったんだね......」
ひどく残念がられた。だって、尋ねないとぜに猫ちゃん怒るし。

「まず最初の質問だけど、彼は幽霊ではなく僕の召使みたいなものさ。きちんと説明すると話は複雑になるから簡単に言えば、僕の莫大な銭の力で彼を現世に召喚したって感じかな」
つまり、お金に目が眩んで現世にやってきたってことなのかな?

「で、二つ目の質問、彼が何で侍王なのかってことだけど、それは彼の口から直接言ってもらおう。瑞穂ちゃんはさっきから僕の話をきちんと聞いてくれないからさ」

132 :: 2018-01-12 13:12:53 0.333ZNY 1人 ←投銭

「拙者は王の息子、愛する父から王位を授かったのでござる。父に訓練を受けた体術、剣術を使ってタカシ殿をお守りしておる。」
「僕ぐらいだろうね、侍王を雇えるほどの金持ちは。はっはっは。」
 そもそも侍王って誰だっけ...
 プリンセスゼニィの父親? いや、あれは別の世界だったっけ?
 
 ちらりとぜに猫ちゃんの方を見ると、下を向いて何やら考え込んでるみたい。

「それでタカシ殿、今度は何用で?」

133 :: 2018-01-13 09:59:49 0.0ZNY 0人 ←投銭

「この子がカモを連れて来るからそれを狩ってくれればいい。この子はビットゼニーの所持数が見えるみたいなんだ」
「ほぅ、それは助かるでござるな。今までは探し出そうにも姿を隠されては見つけ出すのも一苦労でござったからな」

そうか、だから私を利用しようって魂胆なんだ!

「そもそも銭杯戦争ってなんなの?私何にも知らないんだけど!」
「その名の通り、銭杯を賭けた戦争さ。銭杯には途方も無い価値があるんだ。この街にいる7人のマスターが英霊を引き連れて銭杯を奪い合うゲームってわけ」
「どうしたら勝ちなの?」
「マスターか英霊を殺せばいいのさ」
「うぇ!?こ、殺しちゃうの?」

そんなの可哀想。
というか忘れてたけど私もマスターなんだけど!

「それか完全に負けを認めさせればいいみたい。必ず殺す必要はないね」

よし、棄権しよう。
うちの英霊、パジャマのおじさんだし。

「英霊の強さは英霊自体の強さとクラス、そしてマスターのビットゼニーの所持数に依存することが分かった。しかもウェブ上ではなくローカルウォレットに移し替える必要がある。この情報は大きい」

あっ、もしかしてうちのゼニドラゴンさんがメチャクチャ雑魚なのって私がビットゼニー持ってないからなのかも。

「今瑞穂ちゃんの名義でウォレットを作って10万ZNY送っておいたから、そう簡単には負けやしないさ」

タカシ君はニヤリと笑う。

「僕に協力するといい。ついでにサトシも助け出してあげるよ」

134 :: 2018-01-13 14:47:29 0.0ZNY 0人 ←投銭

「わかった。協力するよ」
上手くいけば、そのまま10万ZNY貰えるかもしれないし、そうすればおじさんも強くなるかも!

『ふむ...これは罠じゃな』
「え?」
『シッ!黙ってそのまま聞いておれ。こやつがウォレットを作ったということは、暗号鍵を握られているということじゃ。協力と言えば聞こえは良いが、お主は今、完全にやつの手駒なのじゃ』
まさか、そんなことないよね。だって、お兄ちゃんを助けてくれるって言ってたし、...あれ?

「ねぇ、タカシ君ひとつ聞きたいことがあるんだけど」
「どうしたの、瑞穂ちゃん?」
「何で、お兄ちゃんが攫われたことを知ってるの?助け出すってタカシ君、お兄ちゃんの居場所が分かるの?」

135 :: 2018-01-13 15:24:14 0.0ZNY 0人 ←投銭


「ああ、それはね僕は読めるんだよ人の心が」
「え?」
「僕には全て見えている。ゼニドラゴンの事も知っているし、リュックの秘密はもう分かった。」
 そんな...タカシ君も眼の能力者?
 もうなにがなにやら...

「僕に嘘はつけない。僕と瑞穂ちゃんが協力すれば何でもできるし、サトシだって取り返せる。
 何かあれば僕の家に電話してくれば大丈夫。さあ行ってきて」
「わ...分かった。」
 前の世界からやっと帰れたと思ったら、私の世界までおかしなことになっちゃった。
 お兄ちゃんが戻ってきたらちょっと家族会議だな...

136 :: 2018-01-13 21:13:27 0.0ZNY 0人 ←投銭


 ひとまずは私は自分の家に戻った。

 流石にりんちゃんを男の子の部屋に残しておくことはできないので、
 人質がどうとか言われたけど、なんとか言いくるめて背負って連れて帰った。


「すみません。足手まといになってしまって……」
 目が覚めて、私から事情を聞いたりんちゃんがしょんぼりとしている。

「ううん、あれはタカシくんが悪いよ!」
「そうじゃ、気にするな」
 ぜに猫ちゃんと一緒に励ます。

「しかしまさかあれだけの力に加えて、人の心まで読めるなんて…… 信じられません。
 何かからくりがあると思うのですが……」
 そう言ってりんちゃんが首をかしげた。

「う~ん。そういえば私の知っているタカシくんじゃなかったような……」
 なんだか役になりきれてない感じ? あ……

「もしかしてロボット!?」
「その可能性があります」
 りんちゃんがうなづいた。

 だとすると、
 お兄ちゃんに続いて、タカシくんまで敵の手に落ちているということだ。
 しかもこちらの事情をかなり把握している。
 これはかなりまずい状況だよね。

「どうしよう? このままタカシくんの言う通りに行動するの?」
 私はりんちゃんに判断を仰いだ。

137 :: 2018-01-13 21:44:02 0.0ZNY 0人 ←投銭


「ひとまず、他の反応に接触してみるというのはどうでしょう?
 タカシさんのところへ連れていくかというのはさておき、何か分かるかもしれません。」
「それもそうじゃな。」
「こっちには瑞穂さんという頼もしい味方もいます!」

 そういえば10万ゼニー受け取ったんだっけ
 あんまり実感が湧かない
 
「私強くなってるの?」
「うーむ。パワーは感じ取るぞよ。」
 ぞよ?

「でもどうやって戦えばいいの?」
「それなんじゃが...もしかすると銭杯戦争中はこの世界でも銭闘力が有効という仕様かもしれん。」

138 :: 2018-01-13 22:54:27 0.333ZNY 1人 ←投銭

なるほど。でも、それって私が直接闘うってこと?

「ねぇ、ぜに猫ちゃん、もしかして私が闘ったりするの?パンチ?」
「......お主、何のためにゼニドラゴンを連れてきたと思っておるのじゃ。それに今さっきの話を聞いておったのか?」
「あれ、、、何て言ったっけ。ごめん」
おかしいなぁ…何で…聞いテイタ……ハずな...no........ni
ードサッ
「瑞穂さん!?」
「大丈夫じゃ。じゃが、大分疲れておるようじゃ。このまま銭杯戦争には参戦させるのは酷かもしれんな」

139 :: 2018-01-13 23:19:44 0.0ZNY 0人 ←投銭

むにゃむにゃ... はっ!

・・・・・え?

目を開けているはずなのに何も見えない
俺、失明した!?
ていうか起きあがれない。思うように体が動かせない。
どーなってんだこれ。あー終わった。人生詰んだ。

いや待った...なんか揺れてる?
じっとこらえて体を動かさなくても揺れを感じる。

140 :: 2018-01-15 10:46:50 0.333ZNY 1人 ←投銭

時を同じくして。
-ゼニー城跡地-
黒の袈裟マントに身をつつみ、『Z』の仮面を付けた男が座っていた。
目前に木の賽銭箱が置かれている。

「ゼニーを恵んではくれないか」
ポイッ、1ゼニーが投げ込まれる。ヌッと姿を現したのは、影猫ゼニル。
影の中を行き来し、盗聴、奪取、暗殺、など多くの暗躍任務をこなすゼニー界の黒幕。

「・・・」
「ありがとう。ゼニー城復元のため、これからも支援をよろしく」

「今日の話を聞かせてくれ」
「そうさな、ゼニイ姫、ゼニ猫、そしてゼニドラゴン。彼らに用心なされ。
いづれ、合間見える時、死人がでる。それは、あちら側なのか、そなたなのか、
知る由はない」

「現役復帰してはどうです?」
「ッホッホ、わたしは今も昔も、一介の乞食ぞ。お戯れを」
「まあいい。忠告。頭の片隅に置いておこう。最後に我輩からも。『銭杯戦争』の参戦する。これは招待券だ。見てみたいものだな、伝説のZの実力を」

ヌッと、影の中に消えた。影猫ゼニル。そして、黒の袈裟マントに身を包み、『Z』の仮面をつけた老人。いったい、彼らは何者なのか。闇夜の静けさに、深くたちこめる暗雲の兆し。

141 :: 2018-01-15 16:28:49 0.0ZNY 0人 ←投銭

 チリリリリリリリリリ.... カチッ。

 あれ、朝?
 腕を上に上げてぐーんと背伸びをする。
 なんだか長い長い夢を見ていたみたい....
 
 あ、私、外着のまま寝てる。パジャマに着替えてない。
 そういえばお風呂も歯磨きも学校の支度もした記憶がない。
 疲れてそのまま寝ちゃったのかな?
 でもなんだか今日は寝起きが良い。
 
 とりあえずシャワーを浴びて学校に行かないと!

142 :: 2018-01-15 17:18:45 0.333ZNY 1人 ←投銭


「行ってきま~す!」

 シャワーを終え、大急ぎで準備を整えると、
 私は勢いよく家を飛び出した。

 にしてもなんか変な感じだったな。
 何故かベッドに枕が2つあったり、
 猫なんて飼ってないのにキッチンにキャットフードがあったり。

 ……って、きゃっ!?

「ゼニーを恵んではくれないか」 
 
 なんか変な『Z』の仮面を付けた人が、
 恐らく賽銭箱と共に道の真ん中を陣取っている!
 
「ゼニーを恵んではくれないか」 

 大事なことだから2回言いました?
 ……ゼニーってお金のことだよねぇ。
 隅っこでやってくれたらスルー出来るんだけど……

「30円しかないけど……」
 私は自分のお財布からなけなしの小銭を取り出した。

143 :: 2018-01-15 18:05:18 0.333ZNY 1人 ←投銭

 しょうがないか...なけなしの30円...
 チャリン。

「おい変な物入れるな」
 すぐさま仮面の男が賽銭箱の蓋を開け、私が入れた30円を取り出して塀の向こうに投げた。
 私の30円!

「なんてことするの!」
「ゼニーと言ったよな!日本語分からんのか!」
「とってこい今すぐ!」

 ムカつく~、何なのこいつ。人があげたお金をなんだと思って...

「人の家に10円投げ込む奴は誰だー!」
 
 あ、ここ怖い人の家だった。やばい!殴られる!
 でも全部こいつのせ...

 あれ?
 さっきの仮面の奴がいない

144 :: 2018-01-16 04:58:55 20.0ZNY 1人 ←投銭

結局殴られはしなかったけど、無駄に小言の多いお説教をされた…。
朝から最悪だ!
なんなのよ、あのクソ仮面!
これは愚痴らずにはいられない!

早く教室に行こうと足早に向かうが、あれ?なんか変だな…。

生徒と誰とも会わない。

確かにいつもより遅いけどまだ予鈴には時間あるし…。

休みだった?いや、今日は平日だ。

不安に駆られながらも上履きに履き替え、自分の教室を目指す。

やっぱりおかしいよ!人の気配がない!

ようやくたどり着いた教室の扉を勢いよく開けるとそこには…

145 :: 2018-01-16 10:56:47 0.0ZNY 0人 ←投銭


「きゃーーーーーっ!!」

 私の悲鳴が廊下をこだまする。
 
 教室には、お兄ちゃん、太った見覚えのあるお兄ちゃんくらいの年の男の子、
 可愛らしい猫と女の子、スーツ姿のおじさんが、天井から縄のようなもので逆さに吊るされていた。

 得体のしれない恐怖で体がすくむ。何が起こってるの!?
 気を失ってしまえたら、どれだけ楽だろう。

「お気に召しましたかな?」
「ひっ!?」

 震える身体を両手で押さえつけていると、
 私の影が形を変え、何かがぬぅっと姿を現した。

「我輩の名はゼニル。影猫とも呼ばれている。以後お見知りおきを」

 そう言ってその男は後ろにふわりと跳躍し、そのまま空中でぴたりと止まった。人間じゃない!!
 
「この部屋には五芒星の陣が敷かれている。
 5人の尊い犠牲を持って、この陣は完成するだろう」

 わけわかんなくて怖いけど、まだみんな生きている?
 だったらお兄ちゃんと猫と女の子だけでも救わなきゃ!
 
 何が起こるのか知らないけど、そんなもの完成させるわけにはいかないよ!!
 

146 :: 2018-01-16 13:02:29 0.0ZNY 0人 ←投銭

でも、どうすれば?
とりあえず、職員室に行って先生を呼ばなきゃ!
私が教室を飛び出そうとすると、何者かに腕をつかまれた。

「きゃっ!!」
「おやおや、逃げる気ですか?」
「ち、違います!もうついて来ないで!!!」
何が何だか分からない。
朝から何だか周りの様子がおかしかったし、いっそ夢なら覚めてよーー!!

カチッ。

…あれ、朝?

147 :: 2018-01-16 16:10:13 0.0ZNY 0人 ←投銭

 本当に覚めた!

 何だ全部夢か。あーー怖かった。
 でも何が怖かったんだっけ。
 お兄ちゃん達が捕まってて、何か変な奴がいて...

 駄目だ、はっきりと思い出せない。ぼんやりと黒い服だったような。
 夢の記憶ってすぐなくなっちゃう。そんな気がする。

 あ、お兄ちゃんは現実でも捕まっちゃったんだった!
 リビングにいけばりんちゃん達はいるよね...?
 居てくれ頼む。でもいつもより家が静かな気が...
 そう思うとなんだか怖くなってきた

148 :: 2018-01-16 19:20:36 0.0ZNY 0人 ←投銭

-仮想現実空間メトロゼニイ-
恐る恐る、階段を降りる。
何が起こっているのか、わからない恐怖。

「お兄ちゃんいる?」
返事はない。一階のリビングへと向かう。
開き戸のレバーハンドルに手をかけ、そっと開けた。

すると、突然、光に包まれて。
「なに、いったいなんなの? まぶしい」
 ――――――502 Bad Gateway―――――――

これはデジャブ。光に照らされたと思えば、あたりはブラックアウト。
無数の電子的名英語や記号が流れている空間へ移動した。

「瑞穂ちゃん、聞こえる?」
「この声はぜにい姫?」
「左様、わたしがルドルフだ」

え。だれ。えっと。まって今思い出す。確か、ゼニドラゴンさんの連れていた、
トナカイ? の名前だったような。でもなんで、そのトナカイがここに?
もうわけわかんない。

「ちょっと、だまっておれ。すまんのう、瑞穂ちゃん。わらわじゃ、ぜにい姫じゃ。ルドルフは私の使い魔なのじゃ。ときどき、冗談きつくってのう」
「は、はあ。あのお、それでこれは何なの?」
「これは、メトロゼニイの自然現象と言えばいいのかのう。とにかく、定期的に起こるバグみたいなものじゃ。わらわにも詳しくはわからん」
「説明しよう」

バシッ「キャウン」話をややこしくするな、このポンコツ使い魔。
あ、気にせんでくれ。ルドルフも何も知らん。

「わらわは今、ルドルフを通して瑞穂に声をかけちょる。直にこの現象も治まる。それで、現状の整理なんじゃが。かくかく、しかじかで」
「うんうん。なるほどなるほど。よくわからないけれど、お兄ちゃんが捕まっていることに、依然として変わりはないってことだね。じゃあ助けなくっちゃ」
「ま、そういうことじゃ。あと戻っても、わらわは、ぜに猫のままじゃから、あまり力添えできんぞ。しかしのう、この空間におると、何故かわからんが、自由が利くみたいでのう。どれ、瑞穂にビットゼニーを増やす能力をつけておこう」

瑞穂の頭の上に『ビットゼニー自動マイニングスキル付与』『ビットゼニー自動アービトラージスキル付与』と二つの獲得スキルが追加された。

「これは、どういうスキルなの?」
「話すと長くなるぞ? 簡単にいうと、どちらも時間制で、所持ビットゼニーを増やしてくれるっちゅう、ものじゃ。これで、メトロゼニイへ戻れば、向かうところ敵なしじゃ」
「なんだか反則な気もするけれど。まあいっか、ゲームみたいなものなんだし。さっさとお兄ちゃんを助けて、現実世界へ戻りたいしね」
「わらわも、元の姿に戻りたいからのう。それじゃあ、転送開始じゃ。安心せい、兄の存在座標軸を調べておいた。そこへ、直接転送するのじゃ。わらわも、りんも、あとゼニドラゴンも一緒じゃ。頼んだぞ、瑞穂」

あたりが白い光でフラッシュする。まぶしすぎて、目を開けていられない。
エラーログが消えていく。頭がくらくらする中を目をあけると。

149 :: 2018-01-16 20:27:09 0.0ZNY 0人 ←投銭

 ここは...?
 池みたいだけど物凄い酸の臭い、これもしかして...

「やっちまったわい!ここは多分、サトシの胃の中じゃ!」

 は?どういうこと?

「縮んでサトシの体内に来ちゃったわい。設定ミスじゃ!」
 
 ...は?
 私たちが乗っている謎の固形物もブクブクと音を立てている。

「どうするの? 戻れないの?」
「わらわには無理じゃ!瑞穂、もう一度バグを起こせないじゃろか?」
「どうやればいいの!?」

 今乗っている物はもう長く持たない。このままじゃ溶かされる。
「一旦あっちの浮かんでるのに飛び移るのじゃ!」

 足元に亀裂が走る。ズルッ。

「「「ああああああああああああ!」」」

 カチッ。
 …あれ、朝?

150 :: 2018-01-17 11:07:56 0.0ZNY 0人 ←投銭

 
「夢か……」

 なんか最近起きてばっかりな気がする。
 もちろん気のせいなんだけど。
 
 夢に出てきたぜにぃ姫ちゃんや、ルドルフはいない。

「えーと…… ここはどこだろ?」
 簡素な部屋。藁のベッドに、ローソク立て。

 ……あ、ここって私がメトロゼニイで最初に目覚めた木賃宿だ。
 じゃあここは仮想都市メトロゼニイ?
 
 ステータス欄に、以前はなかった
『ビットゼニー自動マイニングスキル付与』
『ビットゼニー自動アービトラージスキル付与』
 という二つが追加されている。 
 
 そっか……

「夢じゃなかったんだ……」
 正直、夢だと思いたいことが沢山あった。
 もしかすると、どれかはホントに夢なのかもしれない。でも……

 とりあえずここにいても仕方がないよね。

「えっと、このまま外に出ると、また大騒ぎになるかも?」
 前に来たときは、外に出たとたん周りから
『プリンセス・ゼニィ』コールが沸き上がって、大急ぎで逃げだした。

 うーん、どこかで顔まで隠れる鉄の兜でも売ってないかな?
 装備一式整るのもいいかも。
 Bitzenyが10万ちょっとあるし。
 メトロゼニィに換えたらいいんだっけ?

151 :: 2018-01-17 15:05:09 0.0ZNY 0人 ←投銭

よく分からずにあたふたしていると、
「ギィィ…」
扉が開き、女の子が部屋の中に入ってきた。

「誰!」
ここ宿だよ!?

「私のことを知らない?ははん。君はまだニューカマー(新人)さんなんだね」
困惑する私とは対照的にしたり顔をするその子はこの街について色々と教えてくれた。
私の残高を見ると、国家予算の7倍だとか騒ぎ立てていたが、「プリンセス・ゼニィ」コールに比べれば、可愛いげがある。でも、ここでこうしていつまでも時間をつぶしているわけにはいかない。

「萌奈ちゃんだっけ?色々とありがとう、でも私今急いでるの。そろそろ行っていいかな?」
言いながら私はドアを開けて外に出た。
途端に付近を歩いていた町人の様子が何だか落ち着かない。

……完全に忘れていた。

152 :: 2018-01-17 16:41:33 0.0ZNY 0人 ←投銭


 慌てて今出てきたドアをまた開け中に入る。

「おかえり~どうしたの?」
 お別れして即座に帰ってきた私を見て萌奈ちゃんが少し笑う。

 そうだった。何か顔を隠すものがないと外を歩けない。
 
「萌奈ちゃん、帽子とかない?」
「帽子?私のでよければあるけど」
「貸してもらえないかな?」
「ちょっと待ってて」
 
 萌奈ちゃんが裏の方に早歩きで消えていく。
 でもすんなりと貸してもらえるかな?いきなり現れた私に何も信用がないわけで。
 あれ?そういえば何で私の見た目については何も言わないんだろう

153 :: 2018-01-17 17:03:28 0.0ZNY 0人 ←投銭

「はい、これ帽子」
「ありがとう!」
って何これ?鉄兜?!

「えーっと、あのー、実はあまり目立ちたくないんだけど、これ、すごく目立つよね?」
「大丈夫、大丈夫、きっとお似合いだよ。それに欲しがってたでしょう?」
どうして、それを…?
言葉に詰まっている私に、萌奈ちゃんが問いかける。

「ところで、サトシ君は一緒じゃないの?」

154 :: 2018-01-17 19:15:04 30.0ZNY 1人 ←投銭

-木賃宿近く路地裏-

詳細を話していいものか。萌奈さん。
あれ、わたし萌奈さんと面識あったっけ。
お兄ちゃんが「ビットゼニー盗まれたあ、けど何だかんだ助けてくれた命の恩人」とか、なんだか、話していたようにも思うけれど。

「ところで、私たちってどこかで会いました?」
「あ、あー。そういえば初対面だったかな。サトシお兄さんと仲良くしてました。瑞穂ちゃんのことは、ぜにい姫から聞いたの。ほら、先の自然崩壊があったでしょう。その時に、助けてほしいのじゃってね。あ、いい忘れてたけれど、私も瑞穂ちゃんと一緒、もとはあちら側の住人なのよ」

「え、ええー!? そうだったんですか? てっきり、私たちだけかと思ってました。何だかホッとしました。正直、いろんなことが起こりすぎて、混乱してましたから」

「だよね。私もそうだったから。まあ、積もる話はあるだろうけれど、とりあえずこれ被って」はい、と鉄兜を渡される。ズシンと中々の重みだ。

「あまり目立ちたくないんですけれど」
「いいからいいから。とりあえず、被ってよ」
瑞穂は、よいしょと頭の上にもちあげ、鉄兜に顔ををおさめる。

「それで、鉄兜の耳元にある、ダイヤルをひねってみて」
「こ、これですか?」
ブワン、みるみるうちに身体が透けていく。

「これって」
「そ、せんず透明人間ってところかな。これがあれば、誰にも気づかれず、潜入できるってこと。すこし重たいけれど、我慢して。腹に背は代えられないでしょ?」

これは凄い。穏便に、お兄ちゃんを助けるにはもってこいの便利グッズだ。
なんだか、どらえもんの石ころ帽子にみたいだけれど、細かいことは気にしないでおこう。

「あ、お兄ちゃんなんだけれど。かくかくしかじかで」
「ふーん、なるほどね。式典騒動のあと、そんなことがあったのね。
どちらにせよ、サトシくんをはやく助けないとだね」

こうして。萌奈と瑞穂の共同戦線が始まった。

155 :: 2018-01-17 20:08:13 0.0ZNY 0人 ←投銭

透明人間になれる特殊能力を手に入れたのはいいけど、お兄ちゃんやぜにぃ姫、それにりんちゃんもどこにいるんだろ。不安だよ…怖いよ…

結局メトロゼニイに戻って来ちゃったってことは、ここでやらなきゃいけないことがあるってことだよね。

うん、本当は分かってる。

私がやらなきゃいけないこと。

会わなきゃいけない人。

プリンセス・ゼニイ…

あなたは【私】なの?

第四章 0からのスタート −完−

156 :: 2018-01-17 21:36:21 0.0ZNY 0人 ←投銭

 よく考えたらお兄ちゃんの居場所の何の手がかりもない。
 右も左も分からない、知り合いもいない謎の街にただ一人。
 はぁ...泣きそう。

 そもそもみんなはこの世界にいるの?
 私だけこの世界に飛ばされて一生元の世界に戻れない可能性もある。

「ねえ、萌奈ちゃんはどうやってここに来たの?」

157 :: 2018-01-17 22:38:42 0.0ZNY 0人 ←投銭

「ふふふ。どうやって来たって?」
萌奈ちゃんはなんだか楽しそうだ。
私なにか変なこと言ったかな?

「ほんと、覚えてないんだね。瑞穂ちゃんも、サトシ君も」

え、何を?と聞き返そうとした瞬間、突然黒い影が横切った。

あー、もう最悪。またあいつだ。

158 :: 2018-01-18 17:10:22 0.0ZNY 0人 ←投銭

「またお会いしましたな、お嬢さん」
会いたくて会ってるんじゃないし。

「確かにそう、会いたくないでしょ、ふふふ」
「ちょっと、人のこころ勝手に読まないでよ!」
「それは仕方ないのです。そういう能力があるのですから」
ゼニルとかいう男が不敵に笑う。

「あー、そこにいるもう一人のお嬢さん、以前お会いしましたねー。お元気でしたか?」
萌奈ちゃんの顔は青ざめ、震えている…

なんなの、ほんとこいつは!

第五章 メトロゼニイの真実

159 :: 2018-01-18 17:29:12 0.0ZNY 0人 ←投銭

「おや、すみません、女の子を怖がらせてしまいました。目的のためには手段を選ばない主義でしてね。ですが、こうしてまたお会いできて光栄です」

話しかけられた萌奈ちゃんは俯いたまま、顔をこわばらせている。

「ねぇ、あんた萌奈ちゃんに何したのよ!」
こっちには10万zenyある。相手が例え大人でも銭の力で何とかできるはず!

「そちらの元気なお嬢さんは"眼の能力者”でありながら、その自覚がないのですかね…これは少し計算外です 」
そう言うと、ゼニルは瑞穂の目に手をかざした。

「きゃっ、何するのよ!」
「これは失礼。少し貴方の眼に細工させていただきました。こちらの用は済みましたので、それでは、ごきげんよう」
そう言うとゼニルは霧のように消えていった。

160 :: 2018-01-18 17:45:17 50.0ZNY 1人 ←投銭

「萌奈ちゃん、大丈夫?」
まだ緊張した様子で、こぶしを握り締めている。
その表情は怒りと悲しみが入り混じったようだった。

「萌奈ちゃん…」
次に掛ける言葉が見つからいでいると、
「うん、大丈夫だよ」
と萌奈ちゃんは少し寂しそうに笑って、そう言った。

「ところでさ、さっきこの世界にどうやって来たのか?って聞いたよね」
私が頷くと、萌奈ちゃんは言った。

「いいもの見せてあげる。こっちに来て」

161 :: 2018-01-18 20:59:30 0.0ZNY 0人 ←投銭

いいもの……なんだろう?
とりあえず、萌奈ちゃんについていく。
5分くらい歩いたところで、萌奈ちゃんが立ち止まった。

「どうしたの?」
「ない!ないないないないない!!!」
ひどく慌てた様子の萌奈。これほどまでとは血相を変えて、あたりを右往左往している。

「何がないの?」
「え、いいから、瑞穂ちゃんも一緒に探してよ!!」
「だから、何を探せば…」
「私の遺伝子データよ!量子コンピュータ内に保存していたんだけど、無くなってる!」

162 :: 2018-01-18 23:39:57 0.0ZNY 0人 ←投銭


「えええっ!? そんな大事なものを落としちゃったのっ!?」
 い、遺伝子データ? 漁師コンピュータって何??
 
 つい釣られて驚いてしまったけど、全然わかんないや。でも後には引けない。
 ここは…… 知ったかぶりで乗り切ろう!

「もしあれが奴らの手に渡ってしまったら大変なことになるわ!!」
「うん、大変だ!!」
 きっと大変に違いない。 わかんないけど!

「奴らじゃなくても悪用しそうな人間はいくらでもいるわ!!」
「うんうん !いくらでもいるよ!!」
 拳を握って同意する! アホの子でごめんねっ!!

 ……あれ? なんか萌奈ちゃんがジト目を向けてきた。

「もしかしてバカにしてる?」
「……すみません」
 怒られた。 ……だってそんな難しい話わかんないよ。

「えっとその遺伝子データっていうのが、見せたかったいいもの?」
 私がメトロゼニイに来た原因と関係あるのかな?

163 :: 2018-01-18 23:40:48 0.0ZNY 0人 ←投銭

「遺伝子データ?」
「そう!あれがないと私は帰れないわ!無くなるなんてありえない…。ありえないわ!どこ?どこにいったの!?」
「お、落ち着いて瑞穂ちゃん。一緒に探してあげるから。どこを探せばいいの?」

164 :: 2018-01-19 10:08:53 0.0ZNY 0人 ←投銭

「ないね…。その遺伝子データと萌奈ちゃんがメトロゼニイにいることに何か関係があるの?」
萌奈ちゃんが私を見つめる。いやだ、そんなにじっと見られたら恥ずかしい、、

「遺伝子データ。つまりそれはいつでも私を【復元】できるってこと。そう、あなたみたいにね…」

何をいってるの?復元?私が?
なんか変な汗出てきたんですけどー

165 :: 2018-01-20 03:25:48 0.0ZNY 0人 ←投銭

【復元】・・・?頭の中でそのワードがぐるぐる回った。
それはつまり別にオリジナルがいるってこと?
メトロゼニイにいることと何のつながりがあるの?

疑問は次から次に湧いてきたが萌奈ちゃんの口からはピタリと言葉は止まってしまった。
答えを導き出そうと必死に考えたが何も思いつかずただ沈黙が流れた。

あきらめて溢れる疑問を口にしかけた時
萌奈ちゃんが言葉をつづけた。

166 :: 2018-01-20 15:45:46 0.0ZNY 0人 ←投銭

「瑞穂ちゃんは今までこの街で他人と接していて、何かおかしいと思ったことはない?」
「ゼニルに襲われたり、変な夢を見たり、、、くらいかな」
「その前に莫大な銭を保有する男の子と出会わなかったかしら?」
「あ、タカシくん!」
「その人と会ったとき何か気づいたことはなかった?」
「昔のタカシくんとは違ったような気はするけど…それと何か関係があるの?」
「関係ありよ。大ありよ。つまり、その人も私たちと同じ、あちらの世界からやってきたコピーだってこと。様子が以前と違うのは遺伝子データを複製し翻訳する際に、何らかのエラーが生じたせい。変異と言ってもいいわ」
……。
私たちと同じ?コピー?どういうこと?
今まで幾度となく困惑と疑問を繰り返した私だったが、この質問は、この質問だけは憚られる気がした。
…でも、好奇心が勝ってしまった。
「私もそのコピーってこと?本当の私はどこにいるの?」

167 :: 2018-01-20 16:17:29 0.0ZNY 0人 ←投銭

重要なキーワード。『Bitzeny』『メトロゼニイ』『遺伝子』『復元』『コピー』。
一体、この世界で何が起こっているのか。何か大きな団体の、陰謀が垣間見える。

情報が錯綜する。あれ、そういえば私、どうやってこの世界へ来たんだっけ。
とても大切なことなのに、思い出せない。まるで、記憶を操作されているような。
顔を下向き、すこし怖い気持ちになった。

「瑞穂ちゃん!」
ガシッと、両手をつかまれる。ビクッと身体がこわばった。
「え、あ、うん。えと。何だっけ?」
「はい、深呼吸して。せーの。ひっひーふうー」

「ひっひーふうー。って、わたし妊婦さんじゃない!」
「ははは、ごめんごめん。どう。我に返った? まあ。あれだよ。
考え込むと、行き場がなくなるからさ。いま、瑞穂ちゃんがしたいことに全力で取り組めばいいんだよ。
それが何だろうと、わたしは瑞穂ちゃんを全力で手助けする。行こう。やることやらなきゃ。話はそれからだよ」

正気を取り戻す。そうだ。なにくよくよしてんだ私。なんちゃって転生体験だろうと、
ログアウト不可能なデスゲームだろうと。やりきってやる。

「ごはん!」
「へ?」
「おなか空いた!」
「もう、気がぬけちゃったじゃない。おっけー。腹が減ってはなんとやらってね。
わたしのいきつけ、連れてってあげる」

こうして様々な謎を抱えながらも、前進していく。
瑞穂と萌奈は、腹ごしらえのため、街へ繰り出した。

168 :: 2018-01-20 17:16:54 0.0ZNY 0人 ←投銭

 連れていかれたお店は、屋台のお団子屋だった。

「ただいま」
「お、萌奈、客連れてきたのか? でかした!」

 なるほど、萌奈ちゃんここの店員さんだったんだ。
 って、じゃあ宿屋の中まで客引きしに来てたの!?
 それはなんというか、店員さんの鑑だね。
 でもお団子はおやつな気がするんだけど…… まあお腹が膨れればいいか。

 とりあえず私は空いている席に腰を掛けた。

「はぁあ? お前、何言ってやがんだ!?」
 萌奈ちゃんを出迎えたいかついおじさんが、突然大声をあげる。どうしたんだろ?

 なんか言い争ってるみたい。 
 あ、萌奈ちゃんがこっちに来た。 
 
「だから~! この子はカモにするために連れてきたんじゃないんだって!!」
 萌奈ちゃんがそう言いながら、私のかぶっていた鉄兜を脱がした。 
 カモ? ていうか脱がさないで! 結構人いるんだけど!?

 辺りがざわつく。 ああ、またあのコールが始まるのか……

「うぉおおお!! 萌奈でかした!! 野郎ども、ぶち殺せっ!!!!!」
「「「「うおおおおおおおーーーっ!!!!」」」」

 周りにいた客たちが椅子を蹴飛ばし立ち上がり、剣を引き抜いた。
 あれ? コールじゃない…… って、ちょっと待って!? ぶち殺されるの? 私!? 
 なにこれ!? 萌奈ちゃんに裏切られた!?

「違うってっ! この子は別人なの! 協力してもらうために連れてきたの!!」
 萌奈ちゃんが私の前に立って庇ってくれる。
 裏切られたわけじゃなかったみたいだ! 信じてた!
 
 ……ん? 協力??

169 :: 2018-01-29 15:43:15 0.0ZNY 0人 ←投銭

「あの、萌奈ちゃん……。協力って?」
萌奈ちゃんは「わたしは瑞穂ちゃんを全力で手助けする」って言ってたから、てっきり私に協力してくれるものだと思っていたけど。

「協力は協力よ。それともここで殺されたい?」
ひぃっ!萌奈ちゃんが"眼"で圧力をかけてくる…

「わかった、協力する!」
あれ、私こんなこと言うつもりなかったのに口が勝手に…どうして?

170 :: 2018-02-05 11:27:18 0.0ZNY 0人 ←投銭

-----移動テキ屋型要塞ペテンシー内-----
そう。ここは、団子屋ではなく。団子屋にみせた、
ただの移動テキ屋型要塞ペテンシーである。

「てめえら。おちつけえ」
大男が、周囲に怒号する。あたりは静まりかえった。
瑞穂もびくっと身体をこわばらせる。
続けて大男が言う。

「協力してくれんなら話ははえー。いくら俺たちが悪者だからといって、
むやみやたらに殺生しちゃあ、世も末よ。すまんな、おどかしちまって。血気盛んなやつらが多いんだ」

瑞穂は、萌奈ちゃんの後ろに隠れる。
「ちょっともう。加減っていうのを知らないの?
ほんと、馬鹿は0か100しか、脳がないんだから」

「てめーら、謝罪しろお!」
手下一同。「「すいやせんしたー!!」」

「あ、あのう。あなたは何者なんですか?」
瑞穂は、おそるおそる、大男に返答する。

「あ、ああ。まだ自己紹介してなかったなあ。
俺はなあ、ペテンシーギルドの団長をやってる、ペテンシだ。
よろしくたのむぜ、譲ちゃん」

「瑞穂です」
「言うねえ。なかなか、肝の据わったお譲ちゃんだ。で、萌奈よお。
譲ちゃんに何を協力させる気だ? まさか、嬢ちゃんの所持金を餌にして、大勢の客を集めようってか?」
わっはっはっは。大男のペテンシー団長は、愉快に笑う。

「ちがうわよ。そんな、みみっちいことには使わない。
とある上位ギルドをぶっつぶすために、協力してもらうのよ」

「おだやかじゃねえなあ。おめえ、いくらこの嬢ちゃんが
大金もちとはいえ、そんな大層なことができるとは思えねえがなあ。

まあ、協力してくれるなら、何にせよ大手柄だ。
それに、この譲ちゃんがいりゃあ、金には困らねえしな。
いっそのこと、ペテンなんてやめて、まっとうな慈善活動でもやるかあ」

「ははは、冗談きついぜお頭。だれかのために、無銭で働くなんざあ、
馬鹿のやることだぜ。おれたちゃ、悪名高いペテンシーギルド。騙して、盗んで、食らう。それがおれたちの生き様さ。いっひっひっひ」

ちげえねえ、とペテンシー団長があいづちをうつ。
そして、みなが大声で笑う。流れについていけない。

171 :: 2018-02-20 13:53:11 0.0ZNY 0人 ←投銭


「これを見て」
 萌奈ちゃんがそう言って、手のひらから出現させた半透明の画面を寄せてくる。

「これは?」
「更新されたばかりの最新の番付よ」
 へ~、これが番付か。話には聞いてたけど見るのは初めてだ。

「あれ? 1位って……」
 アルトリウス・ゼニドラゴン…… 
 これ、おじさんじゃない? 圧倒的に1位なんだけど…… おじさんは昔の話とか言ってなかったっけ?

「おい、嬢ちゃん、あいつを知ってんのか?」
 ペテンシーの顔が近づいてくる。

「え? えーと、知ってるっていうかなんというか……」
 私は主です。とは言えないよね。

「居場所はわからないか? 
 俺はあいつとは釣り友なんだが、どうにも連絡が取れねぇんだ」
 ペテンシーの顔が近づいてくる。近い! 鼻息がかかる!!
 
「……い、居場所はわかんないけど、りんちゃんがいれば呼び出せるかも……」
 ペテンシーの鼻息から逃れながら答える。

「ほぅ? よくわからんが、可能性はあるのか」
 ペテンシーが顎ひげをなでながらニヤリと笑った。

「待ってよ団長! その線はもう捨てたでしょ!?」
 萌奈ちゃんがペテンシーに食って掛かる。

「なんでい? 俺がアテにしていたあいつが行方をくらませちまったせいで
 俺たちが手に入れたBitzenyは結局、相場崩壊覚悟で市場で捌くしかなかったじゃねぇか。
 嬢ちゃんのBitzenyはどうするんだ?
 あいつは中立派で協力は頼めねぇが、俺とあいつの仲なら両替くれえは……」

「この前の襲撃でわかったでしょ!
 最後は全員でかかってあれだけのダメージを与えたのよ?
 にも関わらず、何事もなかったように4位に上がってる!
 プリンセス・ゼニィの力を正攻法で削ることはできないわ」

「はぁ? じゃあなんで番付を出したんだ? この嬢ちゃんは?
 それにあいつの取り巻きだって無限に金持ってるわけじゃないだろ?」

「……だから番付を見せたのは、そのプリンセス・ゼニィの順位を見せるためだって。
 瑞穂ちゃんが1位に反応するから……」
 ……あれ、私のせい?? ごめんなさい。
 
 少し場が落ち着くのを待って萌奈ちゃんが、
「プリンセス・ゼニィは恐らく、取り巻きを隠れ蓑にしているだけ。
 もしくはプリンセス・ゼニィ自身も誰かの隠れ蓑なのかもしれないわ」

「……どういうことだ?」
 ペテンシーが萌奈ちゃんをにらみつける。

「プリンセス・ゼニィの資金源は別にある可能性が高いこと。
 あと、誰かがプリンセス・ゼニィの番付を目くらましにしている可能性。
 あまりに動きが派手で雑すぎるわ」

172 :: 2018-03-10 19:42:18 0.0ZNY 0人 ←投銭


「ちょいと待たれいっ!!!!」
 話し合いの最中に、急に扉が開き、誰かが入ってきた。
 ……って、

「お兄ちゃん!?」
 私のお兄ちゃんだ。え? 本物?? なんか凄い派手で立派な衣装に身を包んでいる。
 どういうこと??? なんでこっちにいるの? 捕まってたんじゃ……???

「久しぶりだな瑞穂! 俺が来たからにはもう安心だ!!!」
 ???? んん!?

「ここにいる全員を騙せたとしても、この俺はそうはいかないぜ!
 萌奈っ。諦めるんだな! すべての黒幕はお前だっ!!!」
 ( ,,`・ω・´)ンンン?? 萌奈ちゃんが黒幕!?

「くっ! まさかこんなアホに気づかれた!?
 いや、プリンセス・ゼニィか!?」

 え? 萌奈ちゃん??
 顔を醜く歪めた萌奈ちゃんがお兄ちゃんに向かって駆け出した!

「アルトリウス・ゼニドラゴンから預かったこの3500万メトロゼニィを全て魔力に変換っ!」
「3500万メトロゼニィだとっ!!!!????」
 お兄ちゃんがまばゆい光に包まれる。ざわつくペテンシーたちと萌奈ちゃん。

「食らえっ スキル:アルティミット・メトロゼニィ・バースト!!!!!!」
 お兄ちゃんが光を解き放った!! な、なにそれぇ!?






 ―――……焦土と化した大地に残されたのは、
 お兄ちゃんと、
 以前りんちゃんが私の部屋で使った、光る風船のようなものに包まれた私だけだった。

「……どういうこと?」
 仁王立ちでやり遂げた感を出しているお兄ちゃんに、私は説明を求めた。



「すべては最初に俺たちがこの世界に来たとき、
 ぜに猫がお面に封印されたときから始まってたんだ」
 口を開くお兄ちゃん。

「私が説明しましょう」
 突然、後ろから声がした。私そっくりの声だ。
 振り返るとそこにはりんちゃんの姿と
 以前ステージで歌っていた私と同じ顔の女の子の姿があった。

173 :: 2018-04-04 12:47:21 0.0ZNY 0人 ←投銭

「また会えましたね瑞穂。わたし、わたしはメトロゼニイ創始者、ミズホ・エンディキューレ。
もう一つの世界のわたし。それがわたし。そして、あなたは別の世界のわたしです」
焦土と化したこの大地で、語られる。さっきまでの出来事がどうでもよくなるほど、衝撃の事実。

「え? わたし? 別の、世界の? どういうこと?」

「メトロゼニイは、いわば世界線を繋ぐための仮想システムとして開発しました。
そして、瑞穂。あなたとそれに付随する者たちを、を呼び寄せたのは私です。
はじめは興味本位でした。『もし、わたしと同一人物がいるのなら、会ってみたい』

ですが、同じわたしたちが出会うことは、とてもリスクです。
世界のズレ、私の存在自体のズレに、多大な影響を与えかねません。

なのに、わたしは開発者としての、
いいえ人としての欲求を抑えられませんでした。
問題が起これば直せばいい。

と、技術屋としての自信もありました。今思い返せば、とても安易で、軽率な判断。
思い上がっていたのだと思います。天才だからと過信していたのだと思います。
世界を繋ぐという、この世の摂理に逆らっておきながら、さらに深追いをする行為なのですから。

結果は、言わずもがな。システムの不具合が続出し、メトロゼニイが消えて、
わたしたちも消えて、そう思っていたら次の瞬間には戻っていて。ヤバイと思い、
わたしは連日連夜、修復作業にとりかかりました。

けれど無駄足。文字化けから始まり、唐突な一部データの欠如。
普通ではありえないことが次々と起こったのです。
そして、これはあくまでも私の予想ですけれど、もうすぐ二つの世界は消滅します。

二つの交じりあうことのなかった世界の、過度な干渉。
いきすぎた接続が、インフレを起こし、世界は刻一刻と消滅へ向かっているのです。
瑞穂さん。お兄さん。私のせいで、このようなことになり、すいません。

あなた達を元の世界へ戻すことはおろか、
存在自体きえてなくなってしまうかもしれません。
本当にごめんなさい」

お兄ちゃんが間に入る。
「かもしれない、だろ。まだ世界は消えてないんだ。
やることやって、それでもダメなら、仕方ない。
けど、まだやってないこと、できることたくさんあるんじゃないの?」

「そうだよ。お兄ちゃんの言うとおり。
てか、お兄ちゃんはじめから、そういうこと知ってたんなら、
もっとはやくはなしてよ」

「いやあ、ほら、我が妹にはちと酷かなと思って。
ほら、心の準備っていうものがあるだろ。言うほうも、受け取るほうも。
だからまあ、なんだ、こうして無事再開できたんだから、許してけろ」

「どうして怒らないのですか。こんな事態にしてしまった、わたしを攻めないのですか」

「こんな面白い仮想空間、いろんな出会い、体験ができたんだ。
たぶん、一生分の感動ができたかなって。それに現実世界よりかは、百文もまし。
死ねるならこっちの世界でもいいと思ってる。兄ちゃん、ここ大好き。

むしろ、感謝さ。いいじゃんか。だれだって失敗はする。責任は負わなくちゃいけないって思ってるんなら、
問題解決できるよう、最後まで努力しよう。一人じゃ心細いってんなら、俺たちが力を貸す。
何度でも言うが、まだできることあんじゃないの? 諦めたらそこで試合終了ってね」

「なにお兄ちゃんのくせに、かっこつけてんのよ。わたしと見た目同じだからって、甘やかしてる?
ま、わたしもお兄ちゃんの意見には賛成だけど。どう? ミズホえっと、エンディキューレ? 
名前ややこしいから、エンディって呼んでいい? だから、エンディ、メトロゼニイも私たちの世界も絶対取り戻そうよ」

「みなさん・・・」
「うるうる。感動ですね。もちろん、わたしも全力で応援しますよ!」
りんちゃんも、俄然やる気コメントだ。

第5章 メトロゼニイの真実 -完-

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